40~50代の女性は、ホルモンバランスの乱れから今までに感じていなかったような原因不明の不調に悩まされることが徐々に増えていきます。そんな更年期世代の女性にとって、特に深刻なのが「冷え」だってご存じでしたか?
そこで「体調を司るのはすべて血流。全身の不調のもとは血流を妨げる冷えにあります」と警鐘を鳴らす医師・石原新菜先生に、更年期世代の女性に向けてお話を伺う連載では、あらゆる角度から「ご自愛温活のすすめ」について教えていただきます。
毎日暑さでぐったりしていませんか? その不調、実は夏の暑さより、冷房で体が冷えているせいかもしれません。「現代女性は、冬より夏の冷えのほうが体にとって大敵です」と、石原先生。そこで今回は、今年もまだまだ続く猛暑の中、体調を左右する「夏の冷え」についてじっくり解説していただきます。
【石原新菜先生の“ご自愛温活”のすすめ#3】
夏バテより「冷房バテ」が女性の「何となく不調」を生み出す原因に
毎日35度を超す猛暑日が続いていますが、みなさんの体の調子はいかがでしょうか?「なんとなく体がだるい」「よく眠れない」「胃腸が重い」、このような不調のことを昔は夏バテと呼んでいました。でも、冷房の効いた部屋で一日中過ごす現代人にとって、夏の不調の原因は冷房による「冷えバテ」のほうが大きいのです。
現代生活では家、オフィス、そして移動手段の電車の中もガンガンに冷房がきいています。まるで亜熱帯気候のような近年の日本では、命を守るために冷房は必要不可欠な存在ですが、その一方で冷房が効いた部屋に一日中いることで、体は冷え、全身の血流がどんどん悪くなっています。
血流が悪くなれば、内臓機能の働きが悪くなるのは当然。消化不良や胃もたれ、便秘になります。子宮や卵巣が冷えれば生理痛がひどくなったり、更年期症状が出やすくなることもあるでしょう。冷えバテはこのようにさまざまな不調につながっています。
また、冷えバテは冷房のせいばかりではありません。暑い日は氷の入った冷たいドリンクやかき氷を食べたくなりますよね? その気持ちはよくわかりますが、冷たい飲み物や食べ物は直接胃腸を冷やし、消化機能を低下させて、さらに全身の冷えを加速させます。
実際に患者さんの中でも、「夏になるとむくみがひどくなる」「生理痛が冬より夏のほうが重い」など、より夏のほうが体調を崩している方が少なくないのです。そこで女性こそ、夏の冷房から身を守るための「温活」をぜひ心がけてください。
首、手首、足首、くびれ、冷房の冷えから4首を守ろう
冷房の効いた部屋を寒いと感じても、ほかの人と共有している冷房の温度を勝手に下げることはなかなか難しいと思います。そこで寒いときにさっとすぐに1枚羽織ったり、穿いたりできるように、薄手の上着や靴下を常備しておきましょう。
またそのとき、首、手首、足首、そして女性にとって大事な臓器が集まるくびれのあるおなか周りを含めた、体の「4首」を冷房で冷やさないようにガードしてください。ここには太い血管があるので、4首を冷やすと全身の血流が悪くなり、特に冷えやすくなります。外では熱中症対策していても、室内では温活モードにシフトしましょう。
ちなみに私は夏でも冬でも一年中、ユニクロのウエストまでしっかり隠れるヒートテックウォームショーツをはいて、おなかは絶対に冷やしません。最近は夏用の薄い腹巻も販売されているので、ぜひ女性は夏でも腹巻きでおなかを守ってくださいね。
冷たいドリンクや水分のとり過ぎに注意!
夏は汗をたくさんかくので水分補給はとても大切です。でも冷房の効いた部屋で一日中過ごしてそれほど汗をかいていないなら、必要以上に水分をとりすぎるとかえってそれが不調につながってしまうことも。とりすぎた水分が体にたまって「水毒」となり、むくみや冷え、体調不良の原因になる可能性があるのです。また、キンキンに冷えたドリンクは内臓を冷やして不調の引き金になりかねません。水分は汗をかいたり、のどが渇いたときに飲んで飲む過ぎないこと。できれば常温以上のものを飲むようにしましょう。
食べ物はスパイスをちょい足しがおすすめ
冷たいそばや喉ごしのいいそうめん、冷や汁など、暑い日はどうしても冷たいものが食べたくなります。そんなときは七味などのスパイスや薬味をちょい足しするのがおすすめです。ショウガやネギの薬味には体を温める効果が。また、トマトやスイカなど夏野菜や果物も体を冷やすので食べすぎには注意しましょう。食べる時には塩をかけるなど温め食材をプラスすると体を冷やしにくくなりますよ。
週に2~3回は湯船につかりましょう
夏はシャワーですませがちです。でも一日中冷房の効いた部屋で過ごしていたら、体は意外に冷えているのでシャワーだけでは体にたまった冷えが取り除けません。そこで役立つのが入浴です。毎日入ることが難しければ週に2~3回、38~40度のぬるめのお湯に約10分を目安につかりましょう。10分入らなくても顔に汗をうっすらかけたら短くても大丈夫です。湯船につかって少し汗をかくだけで、全身の血流がよくなり、冷房による内臓の冷えが改善できます。
現代女性は夏バテより冷えバテに気をつけて! 夏の冷えを放っておくと、暑さがおさまってから体調を崩すこともあります。夏こそご自愛温活を習慣にして、心も体も元気に毎日を過ごしましょう。