暑くなる季節はとにかく汗が気になります。よしき皮膚科クリニック銀座 院長の吉木伸子先生によると、なんと40代から50代の女性は特有の汗のかき方やニオイがあるそうです。その理由と対処法を詳しく聞きました。
「最近ニオイが変わってきたかも…?」は気のせいではない!
若い頃と汗の質やかき方が変わったと感じるミドルエイジの女性も少なくないのではないでしょうか。実は汗の量や性質の変化は自然な生理現象。赤ちゃんのときはたくさん汗をかきますが、女性の場合、思春期から青年期にかけては女性ホルモンが自律神経を安定させ、発汗はコントロールされるそうです。そして更年期になると女性ホルモンの減少により発汗コントロールの機能が低下します。
この世代の女性は、年齢を重ねることで気になり始める「ミドル脂臭」や「加齢臭」にも要注意なんだとか。男性に多いと思われがちな加齢臭が、実は更年期世代の女性にも発生するというのはなんともショッキングですね。
古本や枯れ草のような独特の臭いとも例えられる加齢臭。その原因物質である「ノネナール」は皮脂腺の中の脂肪酸類であるパルミトレイン酸が過酸化脂質や皮膚の常在菌によって分解されたり酸化されたりすることによって発生します。
そのパルミトレイン酸と過酸化脂質は、加齢によって増加すると言われており、さらに加齢で抗酸化力が衰えてくるので、結果としてノネナールが生じやすい状態が生まれてしまうんだそうです。

画像提供:デオナチュレ
「女性ホルモンには皮脂の分泌や酸化を抑える作用がありますが、更年期を迎えるとホルモン量が減少し、その影響により、女性でも男性ホルモンの量が徐々に優位になり、皮脂量の増加や酸化が進んで加齢臭が生じることが多いと言われています」(吉木先生)
もともと無臭の汗が臭ってしまうのはなぜ?
汗そのものは実は無臭。それがどうして臭ってしまうのか?
そもそも実は汗自体はもともと無臭です。しかし汗が汗腺から出てきた際に皮膚の表面や毛穴の中にいる雑菌と混じり合うことでニオイが発生します。足がニオいやすいのは足に汗腺がたくさんある上に靴の中で雑菌が発生しやすいためなんだとか。
また、汗のニオイの中でも足に次いで特に気になるのが脇ではないでしょうか。そもそも脇が強く臭うのは年齢や性別に関わらず汗腺の一つであるアポクリン腺が発達している人だそうです。
「アポクリン腺から出る汗にはタンパク質、糖質、脂肪酸、アンモニアなどが含まれており、皮膚にいる細菌によってそれらの物質が分解されることで、ニオイの原因物質が発生。何もケアをせず、汗をたくさんかいて放置してしまうと、アポクリン腺が発達していない人でもニオイは生まれてしまいます」(吉木先生)
皮膚科医も注目する「汗どめ成分」とは?
つまり、汗をたくさんかく人ほど汗のニオイが強くなるリスクが高いため、いかに制汗するかが重要になってくるのです。制汗成分として近年注目されている「ミョウバン」は皮膚や血管を収縮させる効果があり、制汗剤にもよく配合されています。
中高年女性においても毛穴を引き締めて汗を抑制し、雑菌の繁殖を抑制してニオイを防止するミョウバンは効果的。世界最古のデオドラント剤として知られ、古くから世界各地で使用されてきた実績のある成分です。
「ミョウバンに加え、スティックやクリームなど直ヌリタイプの制汗剤は気になる箇所に塗り込むことができるためおすすめです。足や脇など特にニオイが気になる部分にはスティックタイプやクリームタイプ、汗による衣服の張り付きが気になる場合はパウダータイプを使うなど、使い分けることで効果的な汗対策になるのではないでしょうか」(吉木先生)
朝晩の入念な汗ケアでニオイは対策できる!
ホットフラッシュなどで汗を多くかくイメージのある更年期。そうした中でも40代以上の女性特有の汗のかき方があるそうです。
「この世代の女性は特に上半身の急な発汗が特徴的です。具体的には頭や首の後ろに汗が流れてくる、寝汗が多くて夜中に着替えが必要になる、足は冷えるのに上半身に汗が出るといった症状が見られます」(吉木先生)
寝汗などもかきやすくなる中高年女性の汗ケアは、朝晩が特に重要だと吉木先生は教えてくれました。朝はシャワーと制汗剤の使用、夜は入浴時の丁寧な洗浄がおすすめ。また入浴時には、脇や首回りを柔らかいタオルと石鹸で丁寧に洗うことが効果的です。
「中高年女性は若い頃とは異なり、より入念な汗ケアが必要となります。また不規則な生活や過度なストレスを避けるなど生活習慣の改善も重要です。日頃は制汗作用のあるミョウバンを配合したボディソープや石鹸の使用などを心掛けつつ、症状が深刻で日常生活にも支障をきたしてしまう場合は多汗症対策としてボツリヌス注射や内服薬、漢方薬などの医療的対応も選択肢となります」(吉木先生)
夏の汗に悩んでいる人はミョウバン成分の制汗剤のほか、日々の朝晩のケアで対策してみてください。