こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記】#20
>>なぜ飲んでくれないの、こんなに暑いのに水を
「こんなに暑いのになぜ水を飲んでくれない……?」周囲も困惑、頑固な義母の水分補給に悩む夏
3年ほど前、脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。現在は、我が家の近くにある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住/食堂付き)で暮らしています。
「お義母さま、今日もあまり水分を取らなくて……。ちょっと、こちらでも対策を考えてみますね」
そんな話をデイサービスの担当者からされた帰り道、私の脳裏には「熱中症になりかけて大騒ぎ」だった昨年夏の記憶が蘇り、「もう、あんな“ドタバタ”は避けたい!」と強く思っていました。
7月1日、気象庁は「国内の6月の平均気温は平年より2.34高く、1898年の統計開始以来、最高記録を更新した」と発表。オトナサローネに掲載中の記にもあるように、最近は「熱中症による救急搬送」のニュースも多く耳にするようになりました。
「暑いと思わない」「喉の渇きを感じにくい」「汗をあまりかかない」などの理由から、熱中症を発症しやすいとも言われている高齢者。体内の水分量が若い人より少なく、暑さや喉の渇きを感じにくくなる傾向があるようです。そのため、喉が渇いていなくても、こまめな水分補給は重要とされています。
そんな中、水分補給を頑なに拒み続けるお義母さん。特に昨年の夏あたりからさらに強く拒否するようになり……。2年以上お付き合いのある介護ヘルパーさんからも、「以前は『私、この麦茶とサイダーが好きなのよ』なんて(ペットボトルを)見せてくれて、それなりに飲んでいた気もするんですけどねぇ。最近はお茶やお水を勧めても、断られてしまうんです」とのこと。
もともと頑固で人に強要されるのが嫌いな性格を考えると、このまま「飲むように勧める」を続けてもおそらく逆効果。ケアマネージャーにも相談したところ、「なぜ、水分補給を嫌がるのか?」の理由を一度明確にしたうえで、「徐々に飲んでもらえる方法を考えてみては?」とのアドバイスがありました。
その話を夫に伝えると、翌日お義母さんに日用品を届ける際、「なぜ飲まないのか?」の“探り”を入れてみるとのこと。例のサイダーを持参し、「いい流れになったら飲んでもらう」とも言っていましたが、私は正直「難しいだろうな……」と感じていました。
>>いやな予感は当たってしまう…「案の定義母は」
もしかして、「水を飲め飲め」は逆効果なのかもしれない…なぜか入浴や外出まで拒否するように
振り返れば、昨年夏の「熱中症になりかけて大騒ぎ」は、この水分補給を拒否したこと、さらにエアコン操作のミスがきっかけで起こりました。当時、かかりつけ医に「暑い日が続いていますから、お水をしっかり飲んでくださいね」と言われた途端、明らかに怪訝な顔をしたお義母さん。
特にその週は猛暑日が続き、こちらの病院だけでなく、デイサービスや住まい(サ高住)でも、たびたび「もっと水分を取りましょう」と言われ続けていたようなのです。
その結果、イライラが募ったお義母さんは、水分補給を促されると拒むようになり、「みんな飲め飲めうるさいから、もう飲まない!」と謎の宣言。
このモードに入って何が困るかと言えば、ほかにも影響が及ぶこと。
義母:「お風呂に入りたくない」
夫:「(デイサービスや病院など)外出する前には入ろう」
義母:「じゃあ、デイサービスも病院も行かない!」
その結果、自室に引きこもる状態に。かろうじて食事の際は食堂へ行っていましたが、お風呂に入らない状態が続けば、体臭や髪の毛から落ちるフケなどで周囲に迷惑をかけるのは時間の問題。そこで仕方なく、入浴や水分補給を強要せず、見守ることにしたのです。
*この記事では小林さんが介護中の義母に見られた「なぜか水を嫌がる」現象をお伝えしました。【関連記事】では水を飲まないばかりか温度調節にも疑問が出るエピソードと驚愕の顛末をお伝えしています。
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