自分の体の「真実の老化っぷり」が数値で明確にわかる「エピジェネティック・クロック」計ってみてわかった「ヤバすぎる未来」 | NewsCafe

自分の体の「真実の老化っぷり」が数値で明確にわかる「エピジェネティック・クロック」計ってみてわかった「ヤバすぎる未来」

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自分の体の「真実の老化っぷり」が数値で明確にわかる「エピジェネティック・クロック」計ってみてわかった「ヤバすぎる未来」

話題の「エピジェネティック・クロック」を東京・銀座に今年オープンした再生医療専門クリニック「東京リライフクリニック」で体験してきました。前編記事ではその結果の概要をご報告しました。続く後編では「悪かった」項目について「なぜ悪いのか」「何が起きてしまいそうか」「どうすればいいのか」、また「ここまで検査を受けた人たちから見出された日本人の加齢の特徴」について、東京リライフクリニック院長の石川正志先生に詳しく伺います。

前編『「私の老化度、本当に54歳ぶんなのかな?」更年期以降は全員が気にしたい「自分の生物学的年齢」を計ってみたら衝撃的すぎる結果に』に続く後編です。

「みなさん、数値の悪い項目にまったく思い当たらないということはないですね」何かしら思い当たることがある

ここまでの内容を改めて、まとめて石川先生にご解説いただきます。

「イノイチさんの場合、全部を総合すると100人中60位ほどで真ん中よりちょっと後ろですが、最近に限れば35位で、まあまあいいほうになります」

わあ、ちょっと嬉しい。

「まず、運動機能が『軽度の異常』と出ました。運動をしているのに異常という人もいます。遺伝子の表現型が悪い、もともとの運動機能が低い、あるいは最近の運動のしなさ、どれが原因なのかはわかりません。ただし遺伝子の表現型としての肺活量はいいですね」

肺活量がいいというのは本当に意外でした。走るのも大嫌いですが、もしかして肺活量がよいのならば私はランが向くのかもしれないですね。検討します。

「注目する人が多いテロメア長はほぼ真ん中の48位でした。短い人は寿命が短い傾向がありますので、いちどは計測してみるといいでしょう。とはいえ、ここまでの当院の検査で極端に短い人はまだ出ていません」

なるほど。テロメアはものすごく気になっていたので、平均的でよかったです。大病を避けて交通事故に遭わなければ平均寿命くらいまでの命はありそうだ、つまり90歳前後までは生きそうだなと予期しておいたほうがよさそうですね。

「その、大病を避けるという点でいますぐ気を付けてほしいことが2点あります。まず、アドレノメデュリンが悪めで、動脈硬化や高血圧のリスクが高いこと。『人は血管とともに老いる』と言われます。ですが、この項目は食生活でかなり変わります。思い当たることがあると思いますので、変えてください。もうひとつ、シスタチンCはすでに『軽度の異常』が出ていて、腎機能の悪化が示唆されますので、腎不全リスクが相当高いと思ったほうがいいでしょう。どちらもいまからできることをしてください」

うわあ、こわ。どっちもすごく思い当たります。私はいま最終月経を迎えたかどうかの判定待ちですが、月経が止まったとたんに総コレステロールとLDLの値が冗談みたいに上がっています。もうひとつ、何にでもバカみたいに塩をかけて生きているので、当然腎機能に影響はあるだろうと思います。数値を見て急激に怖くなりました、なんというか地雷原を歩くかのような言い知れぬ恐怖感です。おのずと減塩できてしまいそうです。

「レプチンもあまりよくないですね。これは脂肪から出るホルモンで、代謝が低下しているかどうかがわかります。やや低下しているだろうという状態で、ただちに異常をきたすことはありませんが、長期的にはリスクがあると認識しておくことが大事です。TIMP1の順位が悪い人は、体内に何かしらの炎症が起きている、あるいは起きやすい傾向にあります。肝機能は正常ですので、どこかに慢性炎症が起きている、あるいはこれから起きる可能性があります」

いろいろ悪いので、たぶん前述のものをよくしたらそのあたりも一緒によくなる気がします。でももう一つ、かなり悪いのがありましたよね。

「はい、IL‐6は『改善余地あり』、かなり悪い数値です。昨今認知機能との関連が言われだした項目で、異常値が出る場合は認知機能の予後が悪い傾向があります。早い段階から認知機能について何かしらの意識的な行動をとったほうがよりベターです」

現在83歳の父は60歳ごろパーキンソン病が見つかり、いよいよ今年完全に歩けなくなったところです。認知はしっかりしていますが、歩けなくなると急激に低下するだろうと思っています。父は7人兄弟ですが父にだけ発現しており、私も何かしらの因子を持っているだろうと思うので、これは今から考えたほうがいいですね……でも、何をどうするといいのかわからない項目です。

「喫煙は吸っていないのに56位ですね。全然吸っていない人でも70位、80位にくることがあります。副流煙の問題もあり、意外な数字が出やすいのです。アルコールも、飲まないのに数値が悪いということは、ダメージを受けやすいと言えます」

なるほど、たばこはかつて吸っていたので逆に56位でよかったです。お酒もほぼ飲みませんが67位、でも私は少量で超酔うので、ダメージを受けやすいと聞くと「そうでしょうよ」と思います。これからはお酒を断る理由として「すいません検査したらお酒のダメージが冗談みたいに大きい遺伝子なので」と言ってみます。

「健康的な生活」って漠然としていたのに、急激に「私は」具体的に何をすればいいかピントが合う

「さて、みなさんがお聞きになるのは、『今後どうすればいいのか』です。どなたも運動は必須、有酸素・無酸素ともに行うこと。野菜・果物を積極的に摂取し、脂質を控えてたんぱくをたっぷり食べる、このあたりは共通です。イノイチさんは『異常』とされる項目が3つ出たため年齢が上がっていますが、年齢的にまだまだ、食生活を改善すると数か月で数値も改善されます」

私の場合、腎不全リスクがななりあると自覚して、今から塩分に相当気を付けたほうがいいということですよね。このことがわかっただけでもかなり生活態度が変わりますから、大きなリスクヘッジになった気がします。

「いっぽう、慢性炎症は実のところ防ぎようがありません。その他の部分を補強して自己治癒を進めてください。ここまでの測定では、みなさん慢性炎症と血管機能にエラーが出るケースが多く、運動していない人はそれもひっかかってくる感じです」

はい、とってもよくわかりました。本当に長年塩をカットするということができなかったのですが、もう今日から怖くて怖くて、だしでカバーする生活に入ります。

「みなさん、いい数値には喜び、悪い数値があると驚き、そしてデータで示されたことで『具体的にどうすればよいのかを教えてくれ』と健康管理に前向きになります。健康診断での血液検査が正常でも、このエピジェネティック・クロックでは異常値が出るということは非常によくあります。持って生まれたものだけでなく、最近の生活ぶり、とりわけ食生活がダイレクトに出ます」

この検査を受ける非常に大きなメリットは、近い将来異常値が出る可能性がわかり、先を読めて、対策ができるということ。未来予知のための検査ですね。というのも、『血液に異常が出てきたころにはもう遅い』のですって。出てくる前から対策をとっていくのが大事、たとえば動脈硬化は不可逆ですから異常が出てからはもう打つ手が少ないのだそうです。

やだ本当に怖い。でもそうですよね、これまでずっと血液検査に異常がないからいいかーと流していましたが、当然私は腎不全も動脈硬化も糖尿病もリスクを持っている、いま出ていないだけですね。

「それだけでなく、自分はきっとよいだろうと思っていたのに計ったら問題があったということも多々あります。運動関連の項目などは特に、やってるから、運動好きだからと思っていたのに悪いこともありますが、対策がとても有効です。こうした検査を積極的に受けようという時点で極端に悪い人はいません。仮に成人病を持っていたとしてもある程度コントロールできている傾向が見てとれます」

先生も途中でおっしゃったのですが、人生で1回はやってみると、だいたい自分が今後とるべき方向がわかるなと思いました!

「そうですよね。やってみると意外に、イノイチさんのように3つ4つくらいは異常が出るもので、しかもだいたいは本人の『ここに課題がある』とうっすら思っている点と一致します。特別にこの分野は気を付けたほうがいいですよとデータで示されると、ほとんどの人はまったくストレスなく納得して対応行動がとれます。やはりデータで見直すということには意味があります」

私みたいに、うすうすマズいなと思ってはいたけれど具体的行動に移せなかった人は、もうデータできみはいかんよと見せてもらったほうが効くということですよね。本当によくわかります。

「そうそう(笑)。もちろん、健康診断での血液検査もとても重要ですが、将来起きる疾病リスクの予想はできませんから、予防行動にはつながりません。血液検査数値が大丈夫だからと無対策で過ごせば成人病リスクはどんどん上がりますから、どんどん間に合わなくなっていきます。動脈硬化のほか腎臓も不可逆ですから、こうした不可逆な項目はとりわけ早めの対策が有効なのです」

そうなんですよ、私、コロナ禍に20歳のネコを腎不全で看取ったのですが、腎臓は本当に壊れるギリギリまでわからないということを改めて感じました。間に合わなくなっていくんですよね……。

「さらに、女性は閉経すると身体が、言い方が悪いですが急激に男性同等に変化していく、つまりオジサン化します。これまで意識せず済んでいた動脈硬化、コレステロール値などがどんどん上がります。以前は自然に任せてよいと考えられていましたが、昨今はこれらも早くからコントロールしたほうが予後がよいという意見が多くなりました。ですから、コレステロールが上がっていく場合は、ケースによっては躊躇せず薬を使ってコントロールしてもいいかもしれません」

私の場合は総コレステロール値とLDL値が毎年悪くなっていくので、これはちょっと頑張っても止まらないなと感じたら投薬もお願いしてみることにします……。

「でも、なんでもかんでも薬というのも考えもので、女性にとっては筋トレも重要です。骨も丈夫になるので一石二鳥、閉経後は痩せる太るよりもすべて増強しフレイル対策を行うのが大事ですから、筋トレは誰であってもすべきです。まずは階段を上がること。歩くのも大事ですし、即効性があるのはスクワットです。筋肉は下半身から落ちますから、たとえば1日の朝晩、歯みがきの間だけでもぜひスクワットを習慣化してほしいです」

スクワット!編集部でも歯みがきの間にやっているメンバーがいます。私も真似してみます。

「実は私も筋トレが趣味で、バーベル120を上げますが、還暦過ぎて2年後に過去最高記録を出しています。筋肉はいつまでも育てることができるのです。ちなみに現在、歴年齢は66歳ですが、私のエピジェネティック年齢は68歳でした。おそらく若いころの激務がたたっているのでしょうね、血管機能、代謝機能、慢性炎症が軒並み悪く、それが原因で上に出たのだと思います。血液検査では問題がないのですが、エピジェネティックでは『軽度の異常』が出る、つまり未来をスキャンしているということが私の結果からもおわかりいただけると思います」

ありがとうございます、身につきにくい健康習慣を総花で頑張るより、自分にとって必須な順から1つ2つ、できることを始めていくことが重要と感じました。この検査、受ける意味が本当に高い。できれば数年おきにでも受けて、結果を追いかけていきたいです。

お話/東京リライフクリニック 院長 石川正志先生

徳島大学医学部を卒業後、同大学院で医学博士号を取得。国内の研究機関や国立病院のほか、オーストラリアやベトナム、上海など海外の医療機関で豊富な経験を積む。これまでに、徳島大学臨床教授や愛媛大学臨床教授などの 重要なポストを歴任し、再生医療分野や肝臓移植、肝胆膵外科に関連する研究で顕著な成果を上げていま す。日本抗加齢医学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本外科学会専門医、日本肝臓学会専門医など数 々の専門医・指導医資格を保有し、日本医学界のトップランナーとして長年に渡り活躍。その専門性は国 際的にも高く評価され、 THE SECOND CONGRESS OF THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR EXPERI- MENTAL MICROSURGERY で の BRONZE PRIZE 受 賞 や、THE 1996 C.WILLIAM HALL OUTSTANDING PUBLICATION AWARD など、数々の受賞歴を誇る。


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