現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、若き石工の原豪を演じた細田佳央太。作中では、朝田家の次女・朝田蘭子(河合優実)に思いを寄せていたが、召集令状が届き出征した後、帰らぬ人となる豪の姿を丁寧に演じ、視聴者の間でも“豪ちゃんロス”が広がるほどの存在感を発揮した。本記事では、細田のこれまでのキャリアを振り返りながら、『あんぱん』での演技や視聴者の声に注目し、その魅力を探っていきたい。
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細田は2019年公開の映画『町田くんの世界』にて、1000人越えの応募者の中から主役の座を射止めたことで一躍注目を集めた。以降、ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系/2021年)では発達障害を抱える昆虫好きの高校生・原健太役の繊細な演技が話題となり、さらに大河ドラマ『どうする家康』(NHK/2023年)では主人公・徳川家康(松本潤)の嫡男の松平信康役を演じると、心優しい青年が戦国時代を生きる中で苦悩し、やがて悲劇的な最期を迎えるまでを見事に演じきった。さまざまな難しい役柄へのチャレンジを経て、今では多くの人がその高い演技力を知るところとなったと言えるだろう。
そんな細田が『あんぱん』で演じたのは、ヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の祖父である石工・朝田釜次(吉田鋼太郎)の弟子で、朝田家と生活を共にしていた原豪。彼は寡黙だが、朝田家の面々に常に寄り添う心を持っている優しい人物で、細田はNHKの公式インタビューの中で、「セリフがそこまで多くないので、直接会話に入っていなくても、それに対しての反応で豪の感情の変化を見せていかなければならない」と、演じる上での心がけを明かしていた。
作中では、豪とのぶの妹である蘭子の淡い恋模様が描かれたが、中でも大きな反響を呼んだのが、第29話で豪が出征前に蘭子に思いを明かすシーンではないだろうか。蘭子から“無事に帰ってきてほしい”と真摯な気持ちを伝えられた豪は、「わしからもお願いがあります。無事もんてきたら…わしの嫁になってください」とプロポーズ。蘭子は豪の告白を受け入れ、豪が出発するまでのわずかな間、2人だけのかけがえのないひとときを過ごすのだった。戦争に引き裂かれる若い男女の切ない思いが表現された同シーンに対し、SNSでは、「心に残るシーン」「演技にずっと見入ってた」「素晴らしかった!!」「さすがの名演技」といった多くの反響があり、細田の演技が多くの人の心を掴んだことがうかがえる。
今後は、2025年冬に放送予定のスペシャルドラマ『雪煙チェイス』(NHK)でムロツヨシとダブル主演を務めることが決まっており、さらに演技の幅を広げていくことが期待される細田。『あんぱん』で見せた“静かに寄り添う演技”は彼の持ち味を存分に活かしており、豪は代表的な役の一つになったことだろう。今後も若手の実力派として、ますます注目が高まりそうだ。