朝ドラ「あんぱん」サブタイトルにマイナスな言葉使う理由【脚本家・中園ミホ氏インタビューVol.4】 | NewsCafe

朝ドラ「あんぱん」サブタイトルにマイナスな言葉使う理由【脚本家・中園ミホ氏インタビューVol.4】

芸能 モデルプレス/ent/wide/show3
今田美桜「あんぱん」第13話(C)NHK
【モデルプレス=2025/04/26】今田美桜主演の連続テレビ小説「あんぱん」(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)の脚本を務める中園ミホ氏に、モデルプレスら報道陣がインタビュー。Vol.4では、キャスティング秘話を語ってくれた。

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◆今田美桜主演朝ドラ「あんぱん」

放送100年、そして戦後80年を迎える朝ドラ第112作目となる本作は、「アンパンマン」を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦がモデル。2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでの人生を、激動の時代を生きた波乱万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描く。主人公・のぶを今田、後にのぶの夫となる嵩を北村が演じる。

中園氏は、小学生の頃にやなせさんにファンレターを送ったことをきっかけに文通がスタート。やなせさんを知る中園氏だからこそ描ける「あんぱん」とは。

◆「あんぱん」キャストキャスティング秘話

― 第4回で朝田結太郎(加瀬亮)が亡くなったとき、朝田くら(浅田美代子)や屋村草吉(ヤムおんちゃん/阿部サダヲ)のセリフの中に、やなせさんの詩だなと思った場面がありました。セリフを作るときに、やなせさんの詩はどんな影響を与えていらっしゃいますか?

中園:やなせさんの「愛する歌」という詩集を小学校4年生のときに読んで、やなせさんにファンレターを送って、そこから文通が始まりました。その詩集はもうボロボロですが、この間開いてみたらほとんど覚えているんです。それくらい繰り返し読んでいたので「アンパンマン」のやなせさんとしてだけでなく、その前にも素敵なお仕事たくさんなさっていた“やなせたかしワールド”を、みなさんに知っていただきたいと思っています。「たったひとりで生まれてきて たったひとりで死んでいく 人間なんてさみしいね 人間なんておかしいね」という詩があって、まさに私が10歳で父親を亡くしたときに、その詩を読んですごく救われて、やなせさんに手紙を書いたんです。最初からこの詩を使おうと思っていたわけではなかったのですが、キャストの顔を思い浮かべながら描いていたら、セリフが降りてきました。今のところ、柳井寛先生(竹野内豊)とヤムおんちゃんの言葉として使わせていただいていますが、やなせさんは絵本もたくさん描かれていて、そういったエピソードも忍ばせているのでファンが増えると良いな、見つけてくださったら嬉しいなと思って描いています。

やなせさんと暢さんのことを考えていると、今まで覚えているほど読んでいた詩ももっと深く味わえるので、そこも楽しいです。たまにやなせさんを近くに感じるときがあって、気が付いたらそのシーンを描き終わっていて記憶がない、みたいなことが起こるので、それは多分私ではなく、やなせさんが描かせてくれたんじゃないかなと思います。

― 加瀬さん、二宮和也さんなど豪華なキャスト陣がすごく贅沢な出演をしていますよね。

中園:倉崎プロデューサーはじめ制作チームがとても頑張ってくれました。キャスティングは基本はなかなか希望通りには叶わないですが、次々に決まっていくのでびっくりしました。こんなドラマは本当にないです。

◆「あんぱん」サブタイトルにマイナスな言葉使う理由

― 第1週のサブタイトルが「人間なんてさみしいね」、第2週が「フシアワセさん今日は」と朝ドラのサブタイトルに“さみしい”“不幸せ”という言葉が出てきたことが気になりました。

中園:実はそこに一番力を入れています。何も失わない人生はないですよね。暢さんとやなせさんは、お父さんを早く亡くされて、若いときにいろいろな別れがたくさんあるんです。その深い悲しみを何度も乗り越えてきたから「アンパンマン」が生まれました。私がお会いした頃のやなせさんは、愚痴っぽいところもありましたが、それ以上にすごく明るい方でした。冗談もお好きで…。人生って辛いことがあるから、楽しい物語、音楽が必要ですし、そういったことをよく考えていた方なのかなと思って、私もその精神を大切にしています。ドラマの前半は辛いことがずっと続きますが、それをどうやって楽しく面白くみなさんに届けられるかなと。顔合わせでも「結構辛いことが続きますけど、それでも毎日毎朝観て元気になれるドラマにしたいので、とにかく楽しく明るくやってください」とお願いしました。深い悲しみを味わわなければ、喜びも幸せも分からないだろうという気持ちで描いています。それがやなせさんの作風であり、人生だと思います。

(modelpress編集部)

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《モデルプレス》

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