生理中も休めない吉原の遊女たち。色街ならではの「すごい工夫」とは? いっぽう、月経小屋に閉じ込められた農村の女性たちは | NewsCafe

生理中も休めない吉原の遊女たち。色街ならではの「すごい工夫」とは? いっぽう、月経小屋に閉じ込められた農村の女性たちは

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
生理中も休めない吉原の遊女たち。色街ならではの「すごい工夫」とは? いっぽう、月経小屋に閉じ込められた農村の女性たちは

*TOP画像/瀬似(小芝風花) 鳥山検校(市原隼人) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」13話(3月30日放送)より(C)NHK

 

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は江戸時代における「生理」について見ていきましょう。

遊女の生理期間は客の見定めにベストな機会!?

遊郭の主人は生理期間の遊女を一部の売れっ子遊女を除き、休ませることは基本的にありませんでした。遊女は生理中も男性客の相手をしなければならないため、この期間をうまく乗り越えられるかどうかは理解ある客(=お話のみでOKなど)の協力を得られるかにかかっていました。自分の身体を気遣ってくれる客が多くつけば、生理期間における勤務の負担が軽減されます。

馴染み客や上客はお気に入りの遊女の生理の周期をおおむね把握しているため、遊女が生理中であることを踏まえて来店していたようです(あるいは、来店を控えていた)。逆に、ツウを気取ったところで、お目当ての遊女の生理期間を知らずに来店し、ごちゃごちゃ文句をつければ“野暮(やぼ)な客”であるとレッテルを貼られました。

江戸時代において生理は「血のケガレ」と考えられており、男女が生理期間中に性交渉をすることは禁じられていました。とはいえ、遊郭街である吉原ではこのようなルールは通用しません。遊女が生理期間だと伝えても、性交渉を強要してくる客もいました。遊女はこうした客に対しては太ももなどで男性モノを挟み(=向股)、刺激したといいます。

また、遊女は(現代でいう)タンポンを使って生理期間を乗り切ることもありました。当時はタンポンはありませんから、糸を付けた海綿をタンポンのように使う遊女が多かったそうです。

なお、遊女は生理のことを「お客さん」と表現したようですよ。粋な表現ですねぇ~。

江戸時代において一般女性は生理期間をどう過ごしていたの?

日本で使い捨てタイプの生理用ナプキンが発売されたのは1961年。アンネ株式会社の「アンネナプキン」は“使い捨てできる元祖ナプキン”です。

江戸時代には今のような生理用ナプキンはもちろんありませんから、紙や布(木綿)を局部にあてて、股ふさぎというふんどし状の布でおさえていました。紙はやわらかさを重視したものやまっさらなものではなく、布は洗って繰り返し使っていました。(平安時代とほとんど変わりません)

また、江戸時代、生理中の女性はケガレとされていたため、農村部では生理期間の女性を月経小屋に閉じ込めることもありました。ケガレた女性と同じ火で煮炊きをすれば、食事もケガレるという理屈だそう。ちなみに、吉原の遊女は稼いでなんぼであるため、月経小屋に入れられることはありません。

現代の女性であれば“生理で体調がすぐれない女性を小屋に閉じ込めて、さらに苦しめるなんてひどい!”と思うかもしれません。しかし、当時の女性たちは月経小屋で過ごす期間は家事や育児から解放されるため嫌ではなかったようです。女性だけの空間で会話に花を咲かせて過ごしていたといわれています。

農村で暮らす女性は畑作業など肉体労働も多いため生理中の仕事はかなりシンドイはず。月経小屋で過ごさなければならない理由はどうであれ、仕事から解放されるのであればよかったのかも…。

本編では、吉原の遊女が生理中にどう過ごしていたのか、その工夫や客との駆け引き、そして同じ時代を生きた農村女性の「月経小屋」での過ごし方についてお伝えしました。

続いての▶▶『べらぼう』に描かれる、人間の光と闇。悪徳高利貸し・鳥山検校の幸せをも願ってしまう、その理由とは【NHK大河『べらぼう』第13回】

では、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」13話のストーリーを深堀りします!

参考資料

安藤優一郎 (監修)『春画でわかる江戸の性活』宝島社 2021年

歴史の謎を探る会『日本人なら知っておきたい 江戸の庶民の朝から晩まで』河出書房新社 2006年

歴史の謎を探る会『江戸の性生活夜から朝まで Hな春画を買い求めた、おかみさんたちの意外な目的とは?』 河出書房新社 2008年


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