「べらぼう」の女将はどうして「眉」がない? 水野美紀はSNSで自虐ネタを披露、女優が実際に眉を剃って挑む撮影のリアルは | NewsCafe

「べらぼう」の女将はどうして「眉」がない? 水野美紀はSNSで自虐ネタを披露、女優が実際に眉を剃って挑む撮影のリアルは

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「べらぼう」の女将はどうして「眉」がない? 水野美紀はSNSで自虐ネタを披露、女優が実際に眉を剃って挑む撮影のリアルは

*TOP画像/いね(水野美紀) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

 

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は江戸時代における「女性の眉毛」について見ていきましょう。

吉原の女将役の女優陣…“眉なし”の彼女たちに魅了されるワケ

「べらぼう」(NHK総合)における吉原の女将役の女優たちは引眉(=眉なし)という眉をしています―水野美紀(いね)、飯島直子(ふじ)、安達祐実(りつ)、山村紅葉(志げ)、かたせ梨乃(きく)。

筆者は女郎屋の女将に眉がないことに初回から気付いていたものの、“特殊メイク”だとばかり思っていました。しかし、実情は必ずしもそうではありませんでした。水野と飯島は眉を実際に剃って撮影に挑むこともあるようです。

飯島は自宅キッチンと思われる場所で撮影した自身の写真を3月12日にInstagramで公開しています。目玉焼きやお味噌汁と一緒に映る穏やかな表情の飯島ですが、彼女の顔には眉がほとんど見えません。

水野については“自分で眉を極限まで剃っている”と語っていました。また、水野はX(旧:Twitter)に自虐ネタを3月3日に投稿し、視聴者をわかせました。

「大河「べらぼう」の現場では、モニターに映る小芝風花に見惚れていると急に水木しげる先生の妖怪みたいな婆がアップで映って「ヒイっ!」てなるから油断ならない。誰だよあの妖怪。あたしだよ。」(水野美紀のXより引用)

視聴者の笑いを遊び心があふれるツイートで誘った水野。とはいっても、彼女の顔を見て「ヒイっ!」となった視聴者は少なくないはず。筆者は水野の女将としての威厳がある雰囲気、若手女優にはない艶やかさに魅了されている一人ですが、この投稿のコメント欄には彼女の演技やユーモアを称える声などがあふれています。

いね(水野美紀) 半左衛門(正名僕蔵) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」7話(2月16日放送)より(C)NHK

NHK大河の舞台が吉原になることに放送前から賛否の声がありました。吉原は女性を性的に搾取していた場所であるため、吉原をエンタメ化することで心を痛める人は少なくありません。しかし、小芝風花が演じる花魁・瀬川は性的魅力ではなく、心や知性で男の心を動かしていましたし、女将を演じるマチュア世代の女優陣は渾身の演技や撮影裏での勇ましい決断力で視聴者をわかせています。ジェンダーレスや男女平等、ルッキズムがさけばれる今、NHK大河で吉原が舞台に選ばれたことには意味があるようにも思えます。

自分の顔を加工アプリなどを使ってよく見せるために試行錯誤する女性が多い今、作品の世界観を大切にし、さまざまな表情をいさぎよく見せてくれる女優陣に脱帽する人は多いはずです。

なぜ、いねやふじには眉がないのか? 江戸時代における女性の眉事情

現代においても顔の中で眉が重要なポイントであることは、眉アートメイクや眉サロンの人気にもうかがえます。

江戸時代においても眉は顔の中で重要なポイントであり、眉メイクのハウツー本も多く流通していました。さらに、眉を見ただけで、子どもの有無も分かったそうですよ。

■江戸の女性たちは令和の女性と同じくらい眉にとことんこだわっていた!?

江戸時代の前半には水嶋卜也による『化粧眉作口伝』(1694年)が出版されました。タイトルに「眉」とあるように、この本では眉化粧の方法、眉化粧に使う道具について絵を用いながら主に説明されています。ちなみに、対象としている読者は上流階級の女性です。

江戸時代後半には佐山半七丸による『女子愛敬都風俗化粧傳』(1813年)が出版されました。この本に描かれている女性を見てみると、顔の形や髪形によって眉の形が違っています。また、眉がない女性もいます。

『女子愛敬都風俗化粧傳』では眉化粧の方法が図を用いながら詳しく説明されています。それというのも、当時、顔の形ごとに似合う眉の形はすでに決まっていました。例えば、丸顔の人は三日月眉が似合い、長い顔や大きい顔の人は眉を少し大きめに描くのがポイントだったそうです。

(現代では女性の著者によるメイク本が多いですが、江戸時代においてはこうした本の著者も男性だったんですね)

20歳をすぎても眉がある女性は「年増」と言われて…

江戸時代の女性は結婚したらお歯黒をし、子どもが生まれたら眉毛を全部抜くのが一般的でした。引眉(=眉なし)はマチュア世代の女性の特徴といえますね。

また、吉原の女将の中には既婚かどうかに関係なく、引眉の女性もいました。

ちなみに、20歳をすぎても眉がある女性は「年増」といわれたそうですよ。未婚女性の中には“行き遅れ”と思われないように、眉を剃って“既婚のフリ”をする女性もいたといわれています。

本編では、江戸における「眉事情」についてお届けしました。

続いての▶▶「祭りの日、人びとの 高揚感やにぎわいは幸せを呼び寄せる。そしてうつせみと新之助は…

では、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)第12話の内容を深堀りします。

参考資料

小酒井大悟『江戸時代大百科 江戸時代の文化』ポプラ社 2022年

佐山半七丸『女子愛敬都風俗化粧傳』 1813年(東京都立図書館 TOKYOアーカイブ参照)

山村博美『化粧の日本史 -美意識の移りかわり-』吉川弘文館 2016年


《OTONA SALONE》

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