閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は一般的には50歳といわれていますが、新しい研究での平均値は52.1歳とされています。となると、47~57歳の世代は更年期に当たる人が多くなります。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期#122】前編
◆マユミさん 48歳
東京都在住。47歳の夫、高校2年生の娘と3人暮らし。ネイリスト、造形作家をしていたが、更年期になってお休み中
「まるで熱中症みたい」43歳、動悸・息切れで動けなくなった
「何かおかしい」と感じたのは、43歳の梅雨時のこと。娘さんの保護者会のために、駅から学校まで10分歩いたあと、異変が生じました。梅雨時ならではの、もわっとした湿った空気で、曇りの日だったといいます。
「暑いな〜とは思っていたんですが、動悸や息切れ、さらには冷や汗まで出てきて、熱中症みたいな症状なんです、気持ちが悪くなり、手のしびれも出てきて……」。その日は保護者会には参加できず、教室の外に出て、座って30分ほど休んでいたら、症状は治まり、帰宅することができました。
しかし、翌日も翌々日も倦怠感は続き、動悸や息切れの症状が出続けて、結局、夏の終わりまで続いたといいます。
「まだ43歳。若い頃から暑さには弱かったので、まさか更年期だとは思わなかったんです」とマユミさん。
「43歳なら更年期ではないでしょう」寄り添ってくれない男性医師に呆然
旦那さんから「病院に行ってきたら」と促され、出産のときにお世話になった婦人科を受診すると、男性医師から「43歳なら更年期ではないでしょう」と相手にしてもらえず、笑い飛ばされてしまったそう。血液検査でも、女性ホルモンの値は更年期の数値ではないため、「違うよ」と軽くあしらわれてしまいました。しかし、症状は秋になっても治りません。
ネットで自分の症状を検索してみると、別の病気の可能性も考えられたので、内科で甲状腺や心電図の検査をしてみましたが、全く「異常なし」でした。
セカンドオピニオンで別の婦人科を訪れ、「更年期」と確定できるまで、1年かかりました。その間は治療もできず、ずっと、「大きな病気ではないか?」とモヤモヤしていたそう。
44歳、女性ホルモン値は落ちていなかったけれど「更年期」と診断されて
その後、受診した婦人科は同年代の女医さんでした。以前の婦人科同様に血液検査での女性ホルモン値は落ちていなかったものの、「更年期症状指数票(SMI)」で見ると、「症状からは、立派な更年期です」という診断結果で、1年間のモヤモヤがやっと晴れました。
その日からプラセンタ注射を始めて、現在のペースは週2〜3回。「プラセンタは私には合っているようで、打った翌日はなんとなくいい感じです」とマユミさん。そのほか、むくみを取る漢方薬と、別の内科で出してもらった自律神経を改善する薬を服用しています。
日中は、内服薬を飲んで、その効果が継続している3〜4時間のうちに家事を片付け、夕飯の支度までして、つらければ横になる。そんな繰り返しの毎日を過ごしています。
振り返れば、更年期の前兆は「足の裏の痛み」から始まった
47、48歳の冬はそれ以前にはなかった冬のホットフラッシュに悩まされたマユミさん。眠っていても暑くて、うなされて起きてしまい、そのまま目が冴えて眠れなくなってしまうことも頻繁にあったといいます。
43歳で更年期の症状が出るまでは、ネイリストとしてお客様に接し、さらに造形作家として人に教えていたアユミさんですが、手のしびれと関節痛が出てきたため、仕事を続けることは断念し、現在はお休みしています。思えば、更年期の症状は「足の裏が痛い」ことから始まったといいます。スポーツクラブで走るのに、クッション性のあるソールの厚い運動靴を履いていても、足の裏が痛い。最初は「なんで、こんなに足の裏が痛いんだろう?」「運動不足かな?」と思っていたそうですが、ネット検索してみたら、足の裏が痛いのも更年期の一種だったことがわかりました。
現在は「のぼせとほてり、動悸がすごくて、心臓がどうにかなっちゃうんじゃないか」と感じているマユミさん。手足のしびれ、関節痛もあるので、どうにか動かなければいけないときには痛み止めを飲み、動悸がひどいときは、「救心」を飲んでやり過ごしています。
本編では、43歳のときに感じた不調を皮切りに、44歳で「更年期」と診断されたマユミさんが始めた治療法についてをお届けしました。続いての▶▶「『一般人の更年期を語りたい』と動画を作ったら大反響。症状にうまく対処していきたいのはみんな同じで…」
では、マユミさんが40代後半になって感じている症状と、つらいながらに挑戦した「更年期YouTube動画」が大きな反響を得たことについてお伝えします。