櫻坂46の11thシングル『UDAGAWA GENERATION』の“BACKSメンバー”による単独ライブ『11th Single BACKS LIVE!!』が、3月6〜7日に武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催された。櫻坂46が『BACKS LIVE!!』を実施するのは、昨年12月上旬に幕張イベントホールで行った『10th Single BACKS LIVE!!』以来約3ヶ月ぶりのこと。「Nothing special」でセンターに立つ三期生・中嶋優月を座長に迎え、彼女の空気感が会場を覆い尽くす多幸感いっぱいのステージで観客を魅了。7日の公演はインターネット配信も実施され、多くのBuddies(櫻坂46ファン)を楽しませた。
【写真】今回が最後の『BACKS LIVE!!』参加となる小池美波らメンバーが全力パフォーマンス
「Overture」が流れる中メンバーがステージに登場すると、センター中嶋の「Buddies! 『BACKS LIVE!!』最終日、盛り上がっていくぞ!」を合図に最新シングル収録曲「ULTRAVIOLET」からライブはスタート。11人のメンバーたちは開放感の強い曲調に乗せて、伸びやかな歌声と華やかなダンスを届けていく。続く「愛し合いなさい」では遠藤光莉を中心に、キュートさとしなやかさを併せ持つパフォーマンスでBuddiesを釘付けに。「19歳のガレット」ではセンター遠藤理子を先頭にアリーナ中央に延びた花道を目一杯使い、「確信的クロワッサン」ではセンターの井上梨名を筆頭にステージ上のメンバーがピースフルな空気を作り上げていく。そして、「夏の近道」では増本綺良がセンターを務めるという意外性に、客席から驚きの声と大歓声が湧き上がり、早くもこの日最初のクライマックスと呼べるほどの盛り上がりを見せた。
最初のMCでは、増本が独特の切り口で観客とコミュニケーションを図る中、座長の中嶋が「私はこのライブを、11人の思いがしっかり届くものにしたいなと思っています。というのも、この11人は内に秘める熱さがあるメンバーだなと思うので、それを直接しっかり届け切りたいです」と宣言する一幕も。その後、ライブはユニットブロックに突入し、まずは井上&武元唯衣がステージに登場する。初日は武元がずっと歌うことを熱望していた「On my way」を披露したが、この日は「縁起担ぎ」という予想外の選曲でファンを喜ばせる。続いて遠藤光莉、幸阪茉里乃、小田倉麗奈、中嶋の4人が「今さらSuddenly」にて、大人びた表情と表現で会場を包み込む。また、『サクラミーツ』(テレビ朝日)でお馴染みの井上、大沼晶保、武元、増本は、この布陣では昨年11月の『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』以来となる「イザベルについて」をパワフルにパフォーマンス。そして、今回が最後の『BACKS LIVE!!』参加となる小池美波は、後輩の遠藤理子&小島凪紗とともに「行かないで」を披露。タイプの異なる3人の歌声や小池のセリフなどが効果的に生かされた、切なさが散りばめられた世界観で観る者を惹きつけた。
2度目のMCを挟んで、ライブは早くも折り返し。新たな衣装に身を包んだメンバーが花道やステージに登場すると、激しいダンストラックに乗せてエネルギッシュなダンスを見せていく。最後に幸阪がソロダンスを披露すると、その流れから彼女がセンターの「嵐の前、世界の終わり」へとつなげる。会場が赤いペンライトで一色に染まる中、11人は力強さと凛々しさを併せ持つパフォーマンスでオーディエンスを魅了。「引きこもる時間はない」では前回の『BACKS LIVE!!』を休演した小田倉が中心に立ち、頼もしさを存分にアピールしてみせる。また、同期の小林由依が卒業前に初めてセンターを務めた「隙間風よ」では、自身も卒業間近の小池がセンターに立って披露。最後の一期生となった小池は、この曲で渾身のパフォーマンスを見せつけた。
その後のMCでは、小池にちなんだトークを展開する。遠藤理子がこの2日間、小池に好みの髪型をリクエストしたことを明かし小池が照れるも、「本当は理子も私と同じ髪型にしたかったと思うんです」と反撃する一幕も。最後に「最後だからとかではなく、今日も櫻坂46の一員としてライブを全うしたい」と、まっすぐなメッセージを寄せた。
ここからライブは終盤戦に突入。中嶋センターによる「条件反射で泣けて来る」でクライマックスに向けて熱量が増していくと、続く「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では小島を中心に据え、オリジナル同様に糸を使った演出でBuddiesの視線を釘付けにする。また、「僕は僕を好きになれない」ではセンターの大沼が彼女らしい表現や表情でこの曲をより見応えのあるものへと昇華させ、「油を注せ!」では武元による椅子を使った独創的なパフォーマンスや圧倒的なソロダンスを交え、会場の熱気を沸点まで到達させる。
最後の曲に入る前、座長の中嶋は「私は自分はひとりだったら普通の人間。加入前からそう思うことが多かったです。何者かになりたい、変わりたいとすら思えなかった瞬間もあります。期待しなかったら傷つかない、そういう弱気な面がずっと嫌いでした」は過去の自分を振り返る。そして「このメンバーと一緒にライブを作っていく中で、私と同じような感情を持っている誰かに『無駄なことなどひとつもない』と伝えたくなりました。好きになれない一面もこのステージで生かしてやろうと、そういう思いでステージに立っています。ひとりだったらなんでもない自分が、誰かに力を届けられるかもしれない。この櫻坂46という場所は私にとっての希望です」と前向きなメッセージを寄せると、そんな自身の覚悟を示すようなソロダンスを披露し、本編ラストナンバー「Nothing special」へと突入する。力強さと繊細さ、スピード感とおおらかさと相反する要素が随所に混在する、メリハリの効いたダンスでグループの多様性を見事に表現してみせ、最後は自然ににじみ出た笑みとともにライブ本編は幕を下ろした。
アンコールではメンバーがこの2日間を振り返っていく。幸阪は「今回は明るいメンバーが揃っていて、リハーサル期間からネガティブな感情になった記憶がなくて。座長を務めてくれたゆーづ(中嶋)はずっと変わらず、メンバーの前で不安な顔を見せずに、“家族の名前当てゲーム”とかしょうもない遊びにも付き合って笑ってくれて(笑)」と座長の中嶋を讃え、小池は「私が初めて『BACKS LIVE!!』に参加したのは3rdシングルのとき。当時はプレッシャーで苦しく感じて、自分のことでいっぱいいっぱいでしたが、気付いたら『BACKS LIVE!!』がこんなに楽しい空気になっていて。卒業する前にもう一度経験させていただけたことが嬉しく思いました」、小田倉は「10枚目シングルを怪我でお休みしてしまったので、今シングルは私自身どうなってしまうんだろうと思っていた中で、このメンバーだったからこそ、皆さんと一緒だったからこそ楽しいライブを作れたことが嬉しかったです」とそれぞれ感謝を伝える。最後に中嶋が「みんなで最後、笑顔で歌いましょう!」と呼びかけると、ラストナンバー「I’m in」でステージ上と客席とがひとつになって、この日のライブを大成功のうちに終えた。
ライブはここで終わるはずだったが、さらなるアンコールを求めるBuddiesの声援とクラップは鳴り止まない。すると、メンバーが再度ステージに登場し、中嶋が「イヤモニ越しにも皆さんの声がよく聞こえてきて、気持ちの共有ができていたのかなと実感しました」と目を潤わせながら喜びを伝える。そして、「最後に今日までの思いを込めて、全力でお届けします!」と再び「Nothing special」をパフォーマンスして、2日間にわたる『11th Single BACKS LIVE!!』は完結した。
11thシングル『UDAGAWA GENERATION』が好調な中、今後も2ndアルバム『Addiction』のリリースや新たな全国ツアー開催を控える櫻坂46。本格的な桜シーズンを前に、櫻坂46が笑顔で満開の景色を見せてくれそうだ。
(文/西廣智一)