こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記】#12
▶頭皮はベタつき、フケや臭いも…
頭皮はベタつき、フケや臭いも! 認知症の義母が1ヶ月も洗髪を拒否する理由
脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。2年半ほど前に我が家の近所(高齢者専用住宅)に越してきてからは、環境の変化も影響してか認知症が進行し、「妄想」や「幻覚」といった症状が見られるようになりました。
当初、「知らない人が家に入ってくる」「この部屋はずっと監視されている」などの発言に困惑し、否定してはキレられるという負のループから抜け出せなかった夫と私。
困り果てた末、介護ヘルパーの資格を持つ叔母に相談したところ「(認知症の方が)『妄想』のような話をしても、否定せずに受け止める」「大事なのは発想力と演技力。『妄想』に合わせて話をする」といったアドバイスが! さっそく実行してみると、お義母さんは納得し、徐々に落ち着きを取り戻してゆきました。
しかしホッとしたのも束の間、すぐ次なる「洗髪拒否問題」に直面します。
▶洗髪しなくなってしまった意外な理由
お義母さんは認知症の初期段階で「嗅覚障害」が生じており、冷蔵庫に腐った食材を大量に放置していたことも。近ごろは自分の体臭もほとんど気にならないようで、「汗臭いから着替えよう」と言った夫に対し、「何? 臭くないわよ!」と怒り出すこともあり……。
そこで入浴は、お義母さんの信念でもある「人に迷惑をかけたくない」を利用。デイサービスの見学を前に「マナーとしてお風呂に入ろう」と伝えて成功しますが、洗髪については「髪の毛はいいわ。臭くないでしょ!」と、拒否されてしまいました。
気が付けば1ヶ月近く髪を洗っていないため、頭皮は油分でベタついており、フケも目立ち始めています。もちろん臭いも。「頭も臭うから洗おう」と夫が再び直球で攻めたところ、「えっ、そう? じゃあ出かけるときは帽子を被るわ(それなら迷惑かけないでしょ)」と言われる始末……。
そもそもお義母さんはここ数年ずっと髪の毛を切っておらず、相当なロングヘア。恐らく髪の毛を洗うのも一苦労で、「自分では上手く扱えず億劫になったのでは?」と予想がつきました。当然、夫や私のサポートは拒否。ケアマネージャー(ケアマネさん)に相談し、訪問介護サービス(入浴介助)の利用も検討してみましたが、「自分でできるから」と怒りだしたため、断念します。
夫と私はそんなやりとりに疲れて果て、しばらくは無理強いをせず、ドライシャンプー(水で洗い流さないシャンプー)を勧めつつ、見守ることにしました。
▶▶次のページ 2年間悩み続けている、認知症の義母が洗わずベタついた「髪を切らない」問題。嘘みたいに一瞬で説得できた「まさかの方法」とは