毎日の食事に欠かせないオイル。「摂り過ぎると、生活習慣病や肥満につながる可能性がある」とは何となく分かっていても、あまり気にせず使っているのがホンネではないでしょうか。
とはいえ近年では、自分に合った良質なオイルを摂り続けると健康維持に役立つといわれています。
そこでオトナサローネでは、「オイル」をテーマとした慶應義塾大学の勉強会に参加。講師とした登壇されていた慶應義塾大学医学部の井上浩義教授に、オイルの種類と効果効能について解説していただきました。スーパーには、さまざまな種類のオイルが並んでいるので、「どれが良いのか分からない」と思っていた方は必見です!
▶「肌や体が老けていく……」実感するなら良質なオイルを!
「肌や体が老けていく……」を実感する毎日。老け細胞を救うカギはオイルにあった!
リンゴの切り口が茶色く変色したり、クギがサビたりするように、私たちの体の中でも日々、細胞の劣化が進んでいます。その犯人は「活性酸素」。活性酸素が増加し、体内の抗酸化力が追いつかなくなるのは、40~50代からが顕著になるのです。
抗酸化力を高めるのに重要なのは、ズバリ「オイル」です。オイルは栄養学的には「脂質」と呼ばれ、体を形成する細胞膜の材料となります。より良いオイルをとらないと、細胞自身の新陳代謝を妨げる可能性があります。
▶抗酸化力を高める「オイル」とは?
質のいい油ってなに?
読者の皆さんは、毎日の料理に多少なりともオイルを取り入れていることでしょう。近年、スーパーでよく見かけるのが、次の3種類です。
オメガ3……エゴマ油、アマニ油、魚の油など
オメガ6……ごま油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油など
オメガ9……オリーブ油、菜種油、米油など
これらは、それぞれ特徴があり効果も違います。上手に使い分ければ、アンチエイジングや健康維持に役立ちます。
▶「美肌」「血液サラサラ」「認知機能・心機能アップ」「悪玉コレステロールを減らす」など、40代・50代に「いいことしかない」オイルをとは
「オメガ3」で、細胞を柔軟に!「美肌」「血液サラサラ」「認知機能・心機能アップ」40・50代に嬉しい効果しかない
「オメガ3」には、細胞そのものを柔軟にする働きがあります。そのため血管を柔軟にしたり、心臓の働きを高めたりすることも期待できます。読者に特にうれしいのは、アンチエイジングに役立つこと。細胞や血管が柔軟になれば、皮膚や髪など見た目にも潤いやツヤがキープされます。それだけでなく脳血流が増えるため、認知機能やうつ症状の改善が期待できるという研究成果も発表されています。
「オメガ9」が悪玉コレステロールを減らす。「コレステロール値」や「血圧」が気になる方におすすめ
「オメガ9」にはHDLという善玉コレステロールを減らさずに、LDLという悪玉コレステロールだけを減らす働きがあります。LDLコレステロールが過剰になると動脈硬化の原因になるので、コレステロール値が気になる人はぜひ。また、悪玉コレステロールを抑えられると、血管の内壁に付着して血管を詰まらせる可能性も減るので、高血圧の予防にもつながります。
このように美容に健康に嬉しい効果が期待され、注目が高まってきているヘルシーオイル。
油はこぞって抜く時代から、選ぶ時代になっているのです。みなさんぜひ、人生100年時代の健康習慣として、
オイルについて改めて勉強してみませんか。
【解説】
慶應義塾大学医学部
井上浩義教授
医学博士、理学博士。1989年九州大学大学院理学研 究科博士課程修了。山口大学医学部生理学教室助手、久留米大学医学部放射性同位元素施設教授などを経て、2008年から現職。 『からだによいオイル 健康と美容をかなえる油の教科書』 (慶應義塾大学出版会)、『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎 )など著書多数。