アートは難しく考えずに「ぱっと見」で買うに限る!あとから「この作家さんどんな人なのかな」と世界が広がるから | NewsCafe

アートは難しく考えずに「ぱっと見」で買うに限る!あとから「この作家さんどんな人なのかな」と世界が広がるから

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
アートは難しく考えずに「ぱっと見」で買うに限る!あとから「この作家さんどんな人なのかな」と世界が広がるから

こんにちは。インテリアアートスタイリストの胡桃(くるみ)です。このコラムでは、絵のある生活の提案をしてみたいと思います。

さて、今回のテーマは「最初の1枚<後編>」。とにかく最初の1枚を手に入れると、グンと楽しくなりますよ!作品の理解を深め、海外のアーティストの作品も購入してみましょう。

【インテリアアートスタイリストが教える「アートのある暮らし」#2】後編

「この絵、なんか好き!」のフィーリングでまずは買う。あとから作品背景を「じわじわと」調べる

前編では大変リーズナブルな予算で銅版画を購入しました。猫が好きだから「猫」で絞り込み、気に入ったものを買ってみる。今時5,000円は1回の外食で簡単に飛んでしまう金額ですが、こと「絵画」に初めてお金をかけたとなると、アドレナリンが上がります。届いた絵を見ると、作者や時代背景にムクムクと興味が湧いてきます。

荻太郎氏ポートレイト(佐藤泰生画:https://taisei-sato-world.com)

荻太郎氏ポートレイト(佐藤泰生画:https://taisei-sato-world.com)

さて、身銭を切って購入した作品が届くと、作家の荻太郎さんって、どんな画家さんだろう? 他にはどんな作品を描いていらっしゃるのかな? などなど、いろいろなことに興味が湧いてきます。

上の写真は荻太郎先生に師事された佐藤泰生先生の作品です。HPには「先生とは、絵の審査や大学の合評会などでご一緒させて頂くことが多くあった。講評での荻先生の言葉はいつも暖かく、どんな作品でも良い部分を見つけることが際立っていた」とコメントがあります。佐藤泰生先生の作品も素晴らしく、またの機会に書きたいと思いますが、お人柄が感じられる一枚ですね。

調べてみると、荻太郎先生は生前絵本の挿絵なども多く手がけられています。wikipediaによると、南薫造氏、猪熊弦一郎氏などから師事とありますね。国際的な展覧会や国内の有名な美術館でも多数出品してらっしゃいます。webで検索すると、油彩画も素晴らしくて、「バレリーナ」などをよく題材にされています。うーん、素敵!!! 今回は検索していなかった「油画」もまた違って良いですし、絵本も沢山手がけてらっしゃいます。これは買ってみたいです。という具合に「こういうものを買いたい」という軸が少しずつできていくのです。

Yahoo!オークション画面

Yahoo!オークション(http://auctions.yahoo.co.jp/)

最初の1枚手にすると「もっと知りたい・欲しい」と欲が出る。しかもいまは「買える」んです

このように、思い切って1枚の絵を買ってみると、さらに興味が拡がります。インテリアアートスタイリストとしては、依頼主の好きだったもの、興味の惹かれるものから一緒にお気に入りの一枚を探すお手伝いをしますが、このコラムを読みながらご自身でやってみるともっと面白いのです。

最初の1枚が、思っていたのと違ったなとか、贋作だったな〜なんて思っても、それはいい勉強です。最近ではyoutubeでも良い動画がたくさんありますから、そうした動画から琴線に触れる作家に出会えるかもしれません。バックリとした西洋史を検索してみたり、図書館で画集をパラパラとみたりすると良いでしょう。難しい美術史論はマニア向けですから、まずは文字は読まず、パラパラと画集を手に取って眺めてみてください。

私の「出会い」の例でもう一つご紹介します。手にとった作品の共通項から「ウィーン幻想派がどうも私は好きだ」という気付きがあったので、早速ヤフオクで絞り込んで落札相場を見ます。

Yahoo!オークション画面

Yahoo!オークション(http://auctions.yahoo.co.jp/)

あらやだ、、、買える? 額付きでこのお値段?? そうなんですよ。意外と皆知らないけれど、30年前からバブル崩壊を経て、ものすごい価格破壊が起きているんです。国内だけでなく、世界的にもそうです。ゴッホやルノアールだけでなく、素敵なアートが実にお得なお値段で世の中に溢れています。

海外の作家物だって買える! しかも「これまで知らなかった世界」と私をつなげてくれる

ちょっと長くなりましたが、上記ぐらいの興味関心が生まれると、俄然楽しくなってきます。

検索でいろいろ眺める中で、ぴたっとフィーリングのあった『ウィーン幻想派』の「アリク・ブラウワー」に注目してみました。海外の作家をヤフオクで検索する場合、表記にも注意が必要。日本語読みに揺れがあったりします。英語読みでも検索してみてね。

  • エーリッヒ・ブラウアー
  • アリク・ブラウワー
  • Arik Brauer

http://www.arikbrauer.at/
http://de.wikipedia.org/wiki/Arik_Brauer

調べるとこの方、オーストリアの画家であり、彫刻家、ミュージシャン、作家、パフォーマーでもあり、素敵なおじさまです。活動は多岐に渡り、ウィーン美術アカデミーの教授を務め、「ウィーン ファンタスティック リアリズム学校」の共同創設者でもありました。92歳で2021年にお亡くなりになられてますが、2003 年、ウィーン ヴェーリングの別荘に彼の最も重要な油絵と彫刻庭園を展示する美術館をオープンしています。「ヨーロッパに行った際は寄ってみたいなあ」なんて、夢はどんどん膨らみますね。

Yahoo!オークション画面

Yahoo!オークション(http://auctions.yahoo.co.jp/)

そして作品、ありますよ! しかもオリジナルの額付きでこのお値段。ね、2万8,000円と、全然手が届く値段でしょ?

このうちの1枚は我が家にやってまいりました。とっても素敵です。実際に作品を目の前にすると、たぶんみなさんが今この記事で見ている色とは全然違います。最初に版画の購入をお勧めするのはこういう理由です。写真でも印刷でもない「本物の色」が手に入るのです。

アリク・ブラウワー氏は、亡くなられた後ご自身のウィーンの別邸を美術館として公開しています。たくさんの絵画と共に彫刻作品も楽しめます。彼の娘さんが管理しており、ギャラリーツアーも開催されているそうです。これは行ってみたいですね!

Villa Arik Brauer、Colloredogasse 30、1180 ウィーン

Villa Arik Brauer(www.arikbrauer.at)

今回の作品は額付きで販売されていましたが、版画を落札するとき、額装付きとそうでないものがあります。額装付といっても、オリジナルの作家が選んだ額がついているもの、額を外して安物をつけているものといろいろです。

額装も奥深いもので、部屋の雰囲気や壁の色に合わせて楽しむのも一興。次は、得しかない額装屋さんとの付き合い方をご紹介しますね。

プロフィール

インテリアアートスタイリスト 胡桃(くるみ)
ふと購入した絵画をきっかけに「絵のある生活」の楽しさを実感。インテリアに合わせた絵のコーディネートを中心に活動中。gallery mésange主宰。


《OTONA SALONE》

特集

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