吉本興業で芸人をしています。さんきゅう倉田です。この連載では月に4本寄稿しています。
欠かすことなく読んでくださっている方々、これからもよろしくお願いします。
大学で「あの記事読んだよ」とか「お母さんが読んでる。面白いって言ってたよ」と声をかけてもらうことがある。
そういう声があると、緊張感を持って執筆できる。
文法、レトリックなど、注意深く書き直し、事実と少しでも異なることを書かないようにしなければならない。
大学の外の人、ライターさんとか会社員とかに会うと、事実確認を蔑ろにしている人が多い。
「~~の人がたくさんいて」みたいな話を聞いて、「何人くらいいるんですか?」と聞くと、「ふたり」みたいなことがある。
学術的でない人は、すぐに一般化してしまう。
ぼくはそういう考えをよしとしないから、論拠を持って話をできる人とばかり付き合うようになる。
そして東大には、そういう人が多くいるため、議論が得意な人が多いのだというエピソードをお話する【後編】です。
◀この記事の【前編】を読む◀◀◀こちらから◀◀◀
▶現役東大生が、勉強より熱中している「流行りのゲーム」とは
現役東大生が今、勉強より熱中している「寿司のゲーム」
ぼくの所属する経済学部の授業は長い。
1回210分だ。
出席している学生も辛いが、話している先生方の喉や腰が心配だ。
しんどくないのだろうか。
学生はほとんどリアクションをしないので、雑談やエピソードトークをしても笑い声はほとんど起こらない。
ぼくが先生だったら耐えられなくなって、次回から来ないかもしれない。
210分集中し続けるのは至難の業だ。
パソコンでLINEやDiscordを開いている学生も多い。ゲームをしている学生を見かけたこともある。
不思議だ。先生の話はゲームより楽しいはずだ。
先日、前の席にいた学生が、寿司のタイピングゲームをやっていた。流行っているらしい。
そのことを昼休みに友人に話した。
▶その後、友人が言った「目から鱗」のひと言とは…
短時間で「ハッとするような良い指摘」をするのが東大生
「タイピングゲームをするんじゃなくて、先生の話をタイピングしたらいいのに」
ぼくははっきりと、目から鱗が落ちるのを感じた。
先生の話をすべてタイピングすれば、授業への理解も深まるし、試験前に多くの学生に寄与するだろう。
一方、タイピングゲームで脈絡のない文章を打ち込んでも得られるものは何もない。文学的な感動もレトリックの学びも達成感も何もない。
時間をかければ、誰だって、良い指摘をすることができるかもしれない。
しかし、多くの東大生は「とても短い時間で」ハッとするような言葉を放つ。
それはぼくの感動を惹起し、ぼくに彼らの“凄み”を実感させる。
東大生と議論していて楽しいと思えるのは、入学してからずっとそういう体験をしているからなのだ。
『お金持ちがしない42のこと』さんきゅう倉田・著 990円(10%税込)/主婦の友社
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