タイ発の大ヒットサスペンス・ホラー『バーン・クルア 凶愛の家』が、ついに日本で公開を迎えた。本作でメガホンをとったタイ“家系ホラーの巨匠”と呼ばれるソーポン・サクダピシット監督が、ホラー映画のアイディアの源について明かした。タイ国内で公開されるや、同時期公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』などのハリウッド大作を押しのけ3週連続NO.1の興行収入を記録した本作。ソーポン・サクダピシット監督は、2004年に脚本を手掛けた映画『シャッター』が国際的に大きな反響を呼び、ハリウッド版をはじめとする多くのリメイク作品が製作された。そして、2011年に監督デビューとなった映画『ラッダーランド/呪われたマイホーム』では、タイのアカデミー賞と呼ばれる<スパンナホン賞>で作品賞・脚本賞を含む6部門に輝き、記録的大ヒット作となった。タイ“家系ホラーの巨匠”「怖さというものは“人間”から来る」『ラッダーランド』も高級住宅地“ラッダーランド”に憧れのマイホームを購入した家族の周りで不気味な現象が続出して…といった“家”を題材にしたホラー作品。タイでは“家系ホラーの巨匠”とも呼ばれているソーポン・サクダピシット監督だが、最初から“家”を題材にした映画を撮ろうと考えていたわけではなかったそうだ。監督は、「怖さというものは“人間”から来ると思っていて、その“人間”は色々な場所と深い繋がりがあると思っています。例えば自分の家だったり、プールだったり、学校だったり…人間と不動産というのは切っても切り離せないものだと思っています。だから、不動産からアイデアが湧いてくるのではないなと思います」と多くの“家系ホラー”を手掛ける理由を明かす。タイでは貸家トラブルが多く、本作『バーン・クルア 凶愛の家』はそういった数々の実際の事件から着想を得た作品なのだが、監督は「自分の家を貸すわけですが、その借り主がどんな人物なのか全くわからないところが面白いなと思いました。そして、どんな借り主が自分にとって怖いだろうと想像し、新興宗教をやっている人たちが借り主になったら怖いのではないかと思ったのです」と語り、本作でも日常に潜む“人間”の恐怖を映し出す。タイと日本のホラー映画の関係タイでは、幽霊にまつわる逸話がたくさんあり、ホラー映画も非常に盛んだ。監督は「タイにはホラー映画になるアイデアや素材がそこら中にある」と語っている。ヨーロッパでは“悪魔”が描かれることもしばしばあるが、対して日本やタイのホラー映画では文化的な死生観からか“幽霊”や“怨霊”の存在、そして死後の世界や亡くなった人の魂への恐れなどが描かれることが多く、タイのホラー映画は日本の観客もより共感ができる内容となっている。幼少期からたくさんのホラー映画を観て育った監督だが、のちに中田秀夫監督の『リング』(1998)や清水崇監督の『呪怨』(2000)などをみて、日本のホラー映画が好きになったと明かす。「幽霊のキャラクターがとても魅力的で、映画自体の雰囲気が素晴らしく、特に日本のホラー映画が大好き」と“ジャパニーズ・ホラー”愛も語る。そして最後に、日本の観客へ向け、「日本のホラー映画好きな皆さん、ぜひこの映画を映画館でご覧ください。やっぱり映画館で見ることで、この特別な雰囲気、それからこの映画の味わいを経験できると思います。ぜひご覧ください」とメッセージを寄せている。『バーン・クルア 凶愛の家』はシネマート新宿ほか全国にて順次公開中。