【モデルプレス=2024/06/01】6月7日公開の映画『明日を綴る写真館』に出演するAぇ! groupの佐野晶哉(さの・まさや/22)がモデルプレスらのインタビューに応じた。先日念願のCDデビューを果たし、バラエティー番組でも太鼓の腕前やカラオケで美声を披露し賞金を獲得するなど、話題に事欠かないポテンシャル高きグループ最年少の佐野。本作ではベテラン俳優・平泉成と“58歳差”の共演で、ストーリーの主軸を担う相手役の大役に抜擢。デビュー前から芝居の面でも注目を集めている佐野に、役作りや影響を受けた人物などについて語ってもらった。【写真】佐野晶哉、ベテラン俳優との貴重な共演2ショット◆映画「明日を綴る写真館」原作は、あるた梨沙氏による同名漫画。さびれた写真館を営む鮫島武治と、弟子入りを志願する気鋭の若手カメラマン・五十嵐太一。年齢も考え方も全く違うが、“自分に素直になれない”という共通点を持つふたり。人々の抱える“想い残し”のために奔走し、自分自身と向き合い、互いに影響し合いながら成長し、やがて思いもよらない奇跡を起こす様を描く。キャリア60年にして映画初主演を飾る平泉が、自身の趣味である写真撮影ともリンクするカメラマン・鮫島を演じ、佐野は太一を演じる。本作は、平泉と佐野が出演し2022年5月に公開された映画『20歳のソウル』の秋山純(企画・監督)、百束尚浩(撮影監督)、中井由梨子(『20歳のソウル』原作・脚本、『明日を綴る写真館』脚本)らスタッフチームが再集結した作品となる。◆佐野晶哉、居酒屋で再会したカメラマンに自ら相談する探究心― 今回演じた五十嵐太一の人物像と役作りについてお聞かせください。佐野:本当は優しいのに、なかなか人に優しくできない不器用な登場人物がたくさん出てくるのですが、その中でも特に太一と鮫島さんは不器用な人間で、太一はカメラに対するテクニックがあり、賞を取るなど結果を残していながらも自分が納得できるものは撮れていない、殻にこもった新進気鋭のカメラマンです。役作りに関しては、普段お世話になっているカメラマンの方全員を参考にさせていただき、現場に行くたびにカメラの持ち方や使っている機材などについていろいろお聞きしました。以前居酒屋で幼馴染と2人でご飯を食べていた時に、たまたま近くの席で「この前ファッション誌の撮影をして…」とお話しされている方がいて、僕も出させていただいたことがある雑誌だったので、もしかしたらお世話になったカメラマンさんかも、と思って「僕、その雑誌に出ました!」と声をかけたら、4年前くらいにAぇ! groupを撮ってくださったカメラマンさんで、「リチャードがいるグループだよね?」と言われたので、「そうです!そのグループです!」と返しました(笑)。そこから「なぜカメラマンになったのか」「どういうことを意識して撮っているのか」など、3時間くらいひたすらお話ししました。帰り道でも、駅に向かって歩きながら「街中だとこういう場所を撮りたくなる」「こういう無機質なものを見ると撮りたくなる」とお話しして、ネットや本を読んでも出てこないようなカメラマンならではの視点を探らせていただきました。アイドルはありがたいことに写真を撮ってもらう機会が多いので、プロの方にお話が聞ける環境がたくさんあって、カメラマンという役に対してより熱が入りました。― 新進気鋭のカメラマン役というのを最初に聞いた時はどう思いましたか?佐野:率直に「カメラ勉強せな~!」と思いました(笑)。2年前に、映画『20歳のソウル』でご一緒した秋山監督が「佐野くんにピッタリな役がある」と連絡をくださったのですが、『20歳のソウル』でお世話になった時も、「佐野くんにしかできない役だから」と言っていただいて、当時の撮影中も「そこに存在するだけでいいから」と何も役作りせずに僕を“佐伯斗真”にしてくださいました。その撮影現場でたくさんお話しして、作品が終わってからもご飯に連れて行っていただいたり、バラエティー番組やYouTubeも観てくださったりと、表の僕も裏の僕も全部知った状態の秋山監督が「佐野くんにピッタリな役」と言ってくださったので、今回もあまり役作りせずに現場に行かせてもらったのですが、さすがに怖くて、クランクインの前日、脚本家の中井さんに「太一ってどんな役ですか?」と聞いたら、「佐野くんそのままだよ。こういう過去を背負って、今この世界に生きている。佐野くんの過去の部分だけを変えてくれたら、あとは変に役作りとかしなくていい」と言われました。でも太一になるためには、カメラの技術や知識、カメラへの思い、そういう部分だけでも新しく取り入れなくてはと思ったので、今回の役作りは僕にとって“カメラを好きになる時間”でした。― 冒頭のポートレートを撮りに行くシーンは、カメラの持ち方が独特だと感じたのですが、佐野さんが提案したのでしょうか?佐野:いろいろなカメラマンの方に相談させてもらったのですが、秋山監督とずっと一緒に映画を撮られていて、今回の作品のことを一番よくわかっている撮影監督の百さん(百束)を最終的に参考にさせていただきました。太一のキャラクターを踏まえた上で、「太一ならこういう撮り方をするんじゃないか」ということを一緒に模索して、教えてもらいながら作っていきました。僕が街中を歩いて、「ここかっこいいな、撮りたいな」と思ったら撮って、また歩いて…と僕が好きなように歩いているところを百さんが追いかけてくれるというような撮影方法だったので、カメラを練習しておいて良かったと思いました。◆他人に媚びず、自分に正直に―――佐野晶哉の性分― 佐野さんにピッタリな役柄とのことですが、太一はやや擦れているところから始まるので、佐野さん自身としてはどう思いましたか?佐野:普段は自我が強いタイプではないので、僕も太一と同じような部分があると思います(笑)。でもグループの楽曲を作らせてもらう時は、作曲家の方やエンジニアの方に引かれるくらいいろいろなことを言っているので、こだわる部分はとことん気が済むまでこだわりたいタイプです。中井さんには「佐野くんは、ある程度人に対して冷めている部分があるから、誰にでも優しくできるのかもしれないね」と言われて、その通りだと思いました。前回から中井さんの人を見る目は怖いなと思っていましたが、今回より深くお話しさせてもらって、前回以上に僕のことを知ってくれたみたいで、ますます怖かったです(笑)。完全に見透かされていました。原作は「人とコミュニケーションを取ることができない太一」ですが、映画では僕用に「人とコミュニケーションを取らない太一」に書き換えたと言っていて、原作の太一が持っているコミカルさやユニークさ、可愛らしい部分が台本では冷酷に描かれていたので、その部分をどう演じたらいいのか中井さんに聞いたら、「その可愛げのある部分は、佐野くんが演じるだけで勝手に出てくるから、あまり考えすぎないでいいよ」と言っていただいたので、本当にそのままで演じました。― 太一はカメラマンとしてのキャリアに背を向けて鮫島に弟子入りしますが、新しい場所に飛び込むという行動は理解できましたか?佐野:僕自身、何年もお世話になっていたドラムの先生がいたのに、友達から別の先生を紹介してもらって「この人や!」と思ったので、新しい先生に教わることにしたこともありますし、大学に入ったものの面白くないと感じた授業は本番だけ参加したこともあります。僕は自分の心に正直なので、冷たく思われるかもしれませんが、すぐに切り替えられるのだと思います。なので、太一が弟子として突然飛び込む極端さは理解できました。― 演じてみて苦労した・難しかったシーンはありますか?佐野:結婚式でのシーンです。僕がドラムを叩いて、鮫島に奪われたカメラを奪い返して、鮫島家の家族写真を撮るという一連の動き自体が実は台本には全くなくて、1~2週間前くらいに秋山監督から「このタイミングで鮫島が息子の写真を撮れたら、昔の想い残しが報われていいんじゃないか」と提案がありました。動きやセリフは決まっておらず、流れだけが決まった状態で、撮影当日にいろいろお話を聞いて3テイクくらいであのシーンを撮ったのですが、最後のテイクの時に突然成さんが僕の背中を押して、黒木瞳さん演じるお母さんのところへ連れて行ってくれたんです。台本を読んだ段階では、太一とお母さんのその後の関係性がわからない部分があったのですが、背中を押されたあの瞬間に太一の想い残しがひとつ雪解けして、全部が報われたような気がしました。大事なシーンが、成さんのアドリブによって素敵なシーンになったし、太一としてお母さんと対峙して、『20歳のソウル』の時のようにリアルな涙を流すことができたので、お芝居っていいなと改めて感じた瞬間でした。◆佐野晶哉が影響を受けた人物「その人なくして今の僕はいない」― 鮫島との関係性が描かれている作品ですが、佐野さん自身が「あの人がいなかったら今の自分はいない」と思う恩人や、影響を受けた方のエピソードをお聞かせください。佐野:秋山監督です。『20歳のソウル』の時になぜ僕をキャスティングしてくださったのか、どこで僕を見つけてくださったのか経緯を何回聞いてもわからないのですが、初めて本格的に参加させていただいた映像のお芝居が秋山監督の作品じゃなかったら、今みたいにこれだけ「ドラマや映画に出たい!」と言えているかわからないですし、多分言えていない気がします。あの時秋山監督のチームで映画を撮らせてもらえていなかったら今の僕はいないと思うし、成さんをはじめ、(神尾)楓珠くんや(佐藤)浩市さんなど素敵なキャストの方々との出会いがあったから映像のお芝居が好きになれたし、まだまだ自信はないけど「自信を持ってもいいんや」と思えるきっかけになれた出会いで、今回もこうしてご縁が繋がってまた映画に出させていただくことができたので、秋山監督なくして今の僕はいないです。― 先ほど役作りについてのお話もありましたが、今回秋山監督と再タッグということで、かけられた言葉はありましたか?佐野:前回は「芸能の神様が見てくれているよ」「佐野くんはいるだけスターなんだから」などたくさんお褒めの言葉をくださって、出し切ってくれたような気がします。その時は役のことについてもお話しさせていただいたのですが、今回はそういったお話より、前回できなかった世間話がたくさん増えました。こういうインタビューのタイミングで秋山監督との濃いエピソードトークが話せない寂しさはありますが、お芝居の話をしなくてもいいくらい成長したんだとポジティブに捉えています(笑)。◆写真にまつわるQ&A<Q1.佐野家では、家族と一緒に写真館で写真を撮ることはありましたか?>A1.家族とは、友達と遊んでいるみたいに写真や動画を撮り合うくらいとても仲が良いので写真はたくさんあるのですが、改めて畏まって写真館で写真を撮るということはあまりなかったです。でも僕の部屋には、僕が3歳くらいの時にお兄ちゃんと写真館で撮ってもらった2人の写真を飾っています。あとは親がチェキを持っていたので、家族写真が10枚くらい部屋の引き出しに未だに入っています。<Q2.大人になった今でも家族と写真を撮ることはありますか?>A2.この作品がきっかけで写真を撮ることが増えたので、感謝しています。自分のスマートフォンのアルバムにある写真の数も一気に増えて、僕のお母さんもカメラにハマって「カメラを買って」とねだられたので、僕よりも良いカメラを買ってあげました(笑)。ママ友同士でオシャレなカフェに行く時とかに写真を撮ってきて、「今日はこんな写真撮ったで~」と見せてくれます(笑)。◆インタビューこぼれ話インタビューを実施したのは、CDデビューが目前に迫った4月上旬。撮影では、こちらから要求せずとも、劇中さながらの物憂げで繊細な表情をカメラに向けてくれた佐野。かと思えばインタビュー中は終始にこやかで、「CDデビューおめでとうございます!」と声をかけると、「ありがとうございます!頑張ります!」と満面の笑顔で応え、「またよろしくお願いします」と丁寧にその場から立ち去る姿が印象的だった。(modelpress編集部)◆佐野晶哉(さの・まさや)プロフィール2002年3月13日生まれ、兵庫県出身。2016年8月に現事務所に入所。2019年2月、Aぇ! groupのメンバーに選ばれ、2024年5月15日に「《A》BEGINNING」でCDデビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『あなたのブツが、ここに』(NHK総合、2022年)、映画『真夜中乙女戦争』(2022年)、『20歳のソウル』(2022年)、『明日を綴る写真館』(2024年6月7日公開)など。◆スタッフクレジットヘアメイク:永井絵美子(JOUER)スタイリスト:寒河江健(Emina)【Not Sponsored 記事】