北海道の湖畔風景×アイヌ文化にひたる温泉宿「界 ポロト」体験レポ | NewsCafe

北海道の湖畔風景×アイヌ文化にひたる温泉宿「界 ポロト」体験レポ

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界 ポロト/提供画像
【女子旅プレス=2024/03/09】北海道白老町のポロト湖畔にある温泉旅館「界 ポロト」。道内に自生する白樺をホテル内外のデザインとして取り入れ、アイヌ民族の伝統的な建築法を取り入れた温泉の露天風呂からはポロト湖が目の前に広がり、周辺の自然とのつながりとアイヌ文化を随所で感じられます。そんな素敵な一軒に滞在してきました。<体験レポ>

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◆北海道のポロト湖畔に佇む湯宿「界 ポロト」

「界 ポロト」は、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の19施設目、北海道初進出の施設として2022年1月に開業しました。

コンセプトは「ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿」。ポロト湖を敷地内に大胆に引き込んだ、敷地内中央の池を囲むように、客室とロビー、レストラン・フロントなどが集まるメイン棟、レイクビューが広がる大浴場「△湯」、洞窟のような感覚が味わえる「○湯」の2つの湯小屋を有しています。

◆アイヌ文化をデザインに反映

エントランスの門を抜けると、小川の流れと白樺の木々を配したアプローチが続き、まるで白樺の林を歩いているような気分に。ホテル全体で570本もの白樺の木が使用されているといい、周辺の自然とのつながりを存分に感じられます。

「界 ポロト」では、アイヌ民族の暮らしや文化から着想したモチーフをデザインに取り入れているのが特徴で、あらゆるものにカムイ(※「界 ポロト」ではカムイは『魂』の意)が宿ると考えるアイヌ文化の精神性が様々な箇所に反映されています。

例えば大きなガラス張りのロビーには、アイヌ民族の人々が大切にする火のカムイへの尊敬をあらわす暖炉を配置。栗やミズナラなどの天然の木が自生するポロト自然休養林が隣接しており、開業以降徐々にアオサギや白サギ、鴨などの野鳥がホテルの池にも飛来するようになったそう。これも年月と共に施設自体が自然に溶け込んでいっている証。

炎をぐるりと囲むソファから、池を悠々と泳ぐ野鳥たちの姿を眺めているとつい時間を忘れてしまいます。

奥に進むとトラベルライブラリーがあり、本棚をよく見るとアイヌ文化や北海道に関連する書籍と一緒に、いくつもの乾燥ハーブの瓶が。

これはオリジナルブレンドのハーブティー体験ができるサービスで、いくつかのハーブを組み合わせて備え付けのティーバッグに詰め、お湯を注げば自分好みの配合のハーブティーの出来上がり。テイクアウト用カップもありコーヒーやハーブティーを客室で飲むことも可能です。

ちなみにフロント横のショップでは、この宿ならではのオリジナルお土産もラインナップ。地元製菓三星に「界 ポロト」オリジナルパッケージを依頼したハスカップバターサンドクッキーイヨマンテや、白老町のコーヒーショップ・BLUE SALMONによる「界 ポロト」限定ブレンドのほか、道産食品を数々取り揃えているので、お土産探しがてら覗いてみて。

◆ポロト湖を眺めるレイクビューの客室

「界 ポロト」は、42室ある客室がすべてポロト湖に面しており、窓の向こうは開放的なレイクビュー。

客室はアイヌ民族の伝統的な家屋“チセ”に着想を得ており、真ん中が凹んだ一風変わったデザインの長テーブルは囲炉裏に着想を得たもの。壁の装飾やインテリアの模様にもアイヌ文化の要素を取り入れています。

客室フロアのそれぞれ廊下最奥にある3部屋のみの特別室には、客室露天風呂付き。

大浴場と同じモール温泉を引いており、夜遅い時間やチェックアウトの直前と、好きなタイミングでいつでも温泉を堪能することができます。

客室露天風呂の横のテラスにはくつろぎ用のチェアもあり、ポロト湖からの清涼な風が吹く中での温冷交互浴は至福の一言。

各部屋に各種アメニティやタオル、ドライヤー、館内着の作務衣などの備え付けも充実。冷蔵庫には北海道ならではのアルコール、ソフトドリンクも用意されています(※有料)。

◆“美肌の湯”で心身を癒す「△湯」「○湯」

宿泊者のための「△湯」は、独立したとんがり湯小屋の中にあり、アイヌ民族の狩小屋・クチャをイメージ。ケトゥンニ構造と呼ばれる建築方法が用いられており、湯上り処を内部から見上げると丸太を三角に立てかけ合わせた三角錐のような構造が一目瞭然。天井は最も高い地点で11メートルにもなるそう。

三角窓の向こうに、ポロト湖を眺められる湯上り処では、乾いた喉を潤すカシス酢&ブレンドティー、棒アイスも用意されています。
「界 ポロト」で楽しめるのは、北海道遺産にも選定されたモール温泉。植物などが分解されず残った層をせりあがって湧出した湯は、植物由来の成分が多く含まれているのが特徴です。

源泉かけ流しの「あつ湯」と、心身を鎮静させる「ぬる湯」の2つの内風呂、露天風呂があり、まずは「ぬる湯」で温泉をまとい、体を慣らしてからの入浴を推奨しているとのこと。ポロト湖畔の風景を楽しみ、鳥の声、風の音を聞きながらゆったりと深呼吸して、土や植物の入り混じったような香りも楽しんで。
一方「○湯」は、ドーム天井がやわらかな光をまとい、まるで洞窟の中で入浴しているかのよう。

宿泊の方はせっかくなので「△湯」と「○湯」両方の湯めぐりを楽しみたいところ。

◆ご当地楽1:特別な思い出を形に残す魔除けづくり体験

全国各地に施設を構える「界」では、その土地ごとの伝統文化や工芸を宿泊者に体験してもらう「ご当地楽(ごとうちがく)」を毎日開催しています。

「界 ポロト」ではそのひとつとして、イケマという植物を使ったオリジナル魔除けづくり体験「イケマと花香の魔除けづくり」を実施。

アイヌ文化で悪いものを遠ざけるという言い伝えのあるイケマの根っこの破片と、白樺の葉、コーンフラワー、カレンデュラを適量とって紙に包み、結び糸で縛れば完成。通年開催なので、滞在の思い出にぜひ。
◆半個室でゆったり。北国の贅を味わう特別会席

夕食は季節の会席をコース形式で。今回頂いた「毛蟹と帆立貝の醍醐鍋会席」は、北海道ならではの毛蟹や帆立貝をブイヤベースで仕立てた醍醐鍋がメインの全8品目。

先付けはキュートな陶器のくまと一緒に運ばれてくる馬鈴薯海宝盛り。山わさびの爽やかな辛さがアクセントで、思いがけぬくまの登場に歓声があがります。

南京柚子の薫る煮椀物に続き、運ばれてくるのが季節の八寸やお造りがのった豪華な宝楽盛り。丸木舟をイメージした台座に、この日はニジマス、ボタンエビ、マツカワガレイのお造り、なまこぽん酢などの小鉢がずらり。まさに視覚からも楽しめる一品でした。

蓋物は増毛町の蔵元による地酒・国稀(くにまれ)で蒸したキンキ。酒蒸しだからこそ薄味でもキンキの旨味がしっかり閉じ込められていました。

焼き物は白老牛と野菜の陶板焼き。(※食材は仕入れによって異なる場合があります)熱した陶板で好みの火入れで仕上げる白老牛は、甘みと脂身がしっかりのっていてとてもやわらか。

そしてお待ちかねの醍醐鍋が到着。トマトを昆布出汁で伸ばしたブイヤベーススープに、毛蟹、帆立貝などの魚介が野菜と共に煮込まれた、なんとも贅沢なお鍋。ほろほろの蟹の身や淡泊な白身魚と魚介の旨味がしっかり溶けこんだスープは、思わず笑みがこぼれる美味しさ。

〆は魚介の出汁が溶けこんだスープをリゾットで。チーズを散らし、味に変化をつけつつ最後の一口まで美味しく頂けます。

甘味は北のブランマンジェ。つるんぷるんな食感のブラマンジェを、ハスカップとラベンダーのソースで味変しつつ、甘いものは別腹ということでぺろりと完食。満足感はしっかりありつつ女性でも食べきれるボリュームでした。

◆ご当地楽2:暖炉での夜長を楽しむ「コタンの宵の集い」

せっかくの白老での夜をまだまだ楽しむべく、今回は夜だけ実施される「コタンの宵の集い」に参加。こちらは暖炉の火を囲み、ご当地ならではのお酒やおつまみを楽しめるというもの。

ニセコ蒸留所のオホロジンや、馬追蒸溜所のオレンジワイン、オサワイナリーで作られているハッピージュース(ノンアルコール)というぶどうジュースなどのラインナップから気になる一杯を選んで晩酌しつつ、スタッフの方によるアイヌ文化の精神性についてのお話に耳を傾けます。

「いつもより嗅覚や味覚を大切に、一杯ずつに祈りや感謝の気持ちを込めて」という言葉に、目の前の一杯を大切に味わおうという気持ちが高まります。

◆四季折々の白老の美しさを「界 ポロト」から見つめる

グリーンシーズンは青々とし原生林が茂るポロト湖畔ですが、ウィンターシーズンになると氷点下になり湖面が凍てつき、水面に雪が降り積もって一面銀世界へと変貌。紅葉狩りの時期の美しさもひとしおで、季節ごとに移ろう表情を見せてくれます。

この土地で育まれてきた美しい自然とアイヌ民族の精神性を宿す「界 ポロト」から、白老の美しさを見つめてみては。(女子旅プレス/modelpress編集部)

■界 ポロト概要
所在地:北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
電話:050-3134-8092 (界予約センター)
客室数:42室
付帯設備:ロビー、食事処、トラベルライブラリー、ショップ、湯上がり処、
大浴場「△湯」(男女別、露天風呂各1、内風呂各2)、「○湯」(男女別、内風呂各1)
アクセス:JR白老駅より徒歩約10分、新千歳空港より車で約40分

※記事は女子旅プレスの調査及び主観に基づくものであり、店舗のサービスが保証されるものではありません。

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