田渕くんはポンッとひどいことを言うんですけど、僕は結構相手の気持ちになってセリフを投げちゃう瞬間があって、「これ言ったら相手はどう思うかな?嫌な気持ちになるかな」という気持ちを消しているつもりでもそういう感情がセリフに乗っちゃっていることがあったんです。そのときに内野さんが「もうちょっとポンッと相手の気持ちとか考えすぎずに(セリフを)投げてみたら変わるんじゃない?僕のこととかあんまり気にしなくて良いよ」とサラッと言って下さって、それから田渕らしさが出るようになりました。僕が漫画で読んで好きだった田渕くんの言葉のトーンってこれだったのかもしれないというのが掴めた瞬間だったかもしれないです。相手の気持ちを考えると逆に嫌味なセリフになっちゃうというかそこまで考えていないからこそ田渕くんは愛されるので、その憎めない部分を賢二さんに気づかせてもらったということは現場で多々ありましたね。あとは僕は結構(脚本に)書かれていることを真正面から受け取っちゃうので、そうじゃないと道しるべを頂くことも結構あって、実際にアドバイス通りやってみたらすごく面白くなりました。内野さんからは「クスッと笑えるところは『Less is more(レス イズ モア)』」つまり削げば削ぐほど面白いとか。例えばびっくりするときの表情も「もうちょっと小さくしたら面白いかもね」と教えて頂きました。小さい部分でもそういうことは伝わるんだなと思ったし、こうやって「きのう何食べた?」の絶妙な日常感から笑いが生まれているんだなと感動しました。