「NewsCafeユーザーによる犯罪コラム」第四回
朝霞市児童虐待死事件
「なぜ彼らは子供を殴り殺したのか?」
・無辜の子らを襲う理不尽…母親と交際相手からの暴力
今月3日、神奈川県警は横浜市に住む31歳女性を逮捕した。0歳だった長男に殴る蹴るの暴行を加え、左目を失明させるなどの重傷を負わせた傷害容疑である。長男は未熟児で生まれたため、市の担当者が定期的に容疑者の自宅を訪問していた。今春、長男の顔にあざがあるのを担当者が発見したことから虐待が発覚。現在のところ女性は容疑を否認しており、内縁関係にあった夫は行方不明になっているという。
この報道を見聞きして「またか」と陰鬱な気持ちにさせられた人は多いはずだ。我が目を、耳を疑うほど惨い児童虐待のニュース…枚挙にいとまがない状態だと言っていい。なかでも母子世帯の母親と内縁の夫による残虐な犯行は後を絶たない。児童虐待にはネグレクトや心理的虐待なども含まれるが、特に身体的虐待に陥りやすいのがこのケースだ。
母親と交際相手が5歳の長男に暴行を加えて死亡させた「朝霞市児童虐待死事件」公判も、この夏に行われたばかりだった。
<家庭という密室で起こる戦慄の暴虐>
昨年の7月10日、埼玉県警朝霞署は、5歳の長男に対する傷害容疑で母親の草川彩夏容疑者と、交際相手の佐久川光弘容疑者を逮捕した。ふたりはともに23歳で無職、交際が始まったのは事件の数カ月前のことであり、亡くなった長男・明日ちゃんの実父は草川容疑者の過去の交際相手であった。
朝霞署の発表によると明日ちゃんの全身には十数カ所ものあざがあり、草川容疑者からの通報で救急隊がかけつけた時には、すでに心肺停止状態だったという。
立て続けに起こる児童虐待事件のなかでも特に「朝霞市児童虐待死事件」に耳目が集まった理由…それはやはり、凄まじいまでの暴力にあったのではないだろうか。死因は腔内粘膜の損傷による敗血症と診断されたが、その幕切れに至るまでには想像を絶する現実があった。顔を金属棒で殴る、げんこつで殴る、熱湯をかける、靴下で口をふさぐ、ペッパーソースを強制的に飲ませる、500回以上のスクワットをさせる、火のついた線香を押しつける、眠らせないように立たせたままにする…。ありとあらゆる暴虐が尽くされたという。
<"慕わしい母"はどこへ…無惨の要因を探る>
なお、草川容疑者は明日ちゃんを生後6カ月から虐待していたという記録があり、児童相談所は過去に2度、明日ちゃんを保護している。しかし草川容疑者自らが心を入れ替えての育児を希望したため、手元に戻したという経緯があった。その結末がこの事件である。
壮絶な概要を知り「虐待どころか、まるで拷問だ」と感じた人もいるだろう。むしろ拷問であれば機密を白状して逃れる選択肢もあるのだから、明日ちゃんの絶望は拷問以上である。そしてさらに、それほどの責苦を受けてなお明日ちゃんの最期の言葉は「ママと一緒に寝たい」であったこと…。世の人々はこの不仕合わせに憤り、各種メディアやネット上では様々な議論が交された。
そして今夏の公判では、さいたま地裁から両容疑者に懲役11年の判決が言い渡されている。NewsCafeでは「なぜ彼らは子供を殴り殺したのか」というテーマで、ユーザーのコメントが募集されたようだ。当記事では賛同の多かった意見や印象的なコメントを紹介していきたい。
※コメント総数…357件
まずは賛同が多く集まったコメントを掲載したいが、その内容は募集テーマについて触れられていないものがほとんどだった。つまり、加害者側の理由は考察するにも値しない…そう考える人が大多数ということだろう。また、懲役11年という判決への異議も数多く寄せられていた。
■心底腹が立ちます。ゲンコツや金属棒で殴る? スクワット500回? どれをされたとしても、私は辛いし、死ぬと思う。それをたった5歳の子供がされていた。耐えていた。男の子の心身の痛みを考えると涙が出てきて、男と女に怒りが込み上げてきます。虐待に理由もへったくれもないと思います。やっちゃいけない事はやっちゃいけない。自分のした事は自分で責任をとる。それを知らずに大人になるから、働きもせず子供を作る、罪のない子供に不満をぶつけて解消する。人としてやっちゃいけない事なのに、たった11年ですか? 子供の命はそんなに軽いのでしょうか? 納得できません。[30代女性]
■死刑が一番の薬だ。その他に何かあるのか?[50代男性]
■明日ちゃんの短い生涯を思うと、泣けてくる。何も罪もない5歳の子の歯や顎の骨が折れるほど殴る鬼畜の神経など知りたくもないし、怒りしか覚えないが、明日ちゃんの最後の言葉…「ママと一緒に寝たい」こんな鬼畜の様な母親でも、明日ちゃんには最後まで『ママ』であった事を思うと、子供の純真なこころに涙が止まらない…せめて天国では楽しく安らかにすごしてほしい。[40代男性]
他に、少数ではあったが、容疑者ふたりが育ってきた家庭環境について考察すべきという冷静な意見も寄せられていた。いわゆる「虐待の連鎖」についてである。またユーザー自身の育児体験談や心境についてのコメントも届いている。
(続きは後編へ)
[文・能井丸鴻]
《NewsCafeコラム》
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