2012年の合計特殊出生率(ひとりの女性が生涯に生むとされる子どもの人数)は、前年比0.02ポイント増の1.41…実に16年ぶりの1.4台回復とあって、メディアがこぞって取り上げたのは記憶に新しい。しかし、一方で肝心の"産婦人科医"や"産む場所"の不足は解決していない。
そこで注目したいのが助産師の存在だ。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでは男性の助産師も存在するが、日本では助産師国家試験を受験できるのは女性のみ。古くは「取り上げ婆」「産婆」、戦後は「助産婦」と呼ばれたとおり女性限定の資格職である。2002年に助産師へと名称が変更されたものの、男性助産師を認めることについては時期尚早として見送られた。
現在の日本で、性別によって国家資格の取得が制限されることは稀であり、男性助産師が認められれば前述の問題を緩和できるのは確実だが…。
そこでNewsCafeのアリナシコーナーでは「男性の助産師、アリだと思う?」という調査を実施。結果とともにさまざまな意見をご紹介しよう。
【アリ…25.9%】
■男の産婦人科の医師もいるから。
■ちゃんと知識があり、適切に対応できるなら男性もアリ。
■別に気にならない。
■存在するの? いても構わないけど。
■出産時には男だろうが女だろうが関係なくなるよ!
■日頃、男女平等を叫んでおきながら、この結果(怒)。身勝手過ぎる。
■ただ私は選ばないだけ。
■男女平等という点ではアリだが妊婦側の羞恥心の壁はまだ高いと思う。
■きれいごと言ってる場合じゃないと思うが。
【ナシ…74.1%】
■偏見ですが、嫌です。
■男子の助産師、産婦人科希望の看護師は遠慮してほしい。
■産科に女医さんが増えて欲しい。検診も男は嫌だ。
■男性の立場から考えても女性が嫌がるのは容易に理解できますよ。
■医師や看護師はアリだけど助産師はチョット。
■私はナース。仕事内容は熟知してますが、これだけは絶対に嫌。
■助産師は出産だけでなく、母乳のケアもするんです! イヤです!
■でるもんもでなくなるわ!
■ジェンダーフリーとはまた別の話。
■男性ならでは、女性ならでは、の仕事は絶対にある。
結果は【ナシ派】優勢、アリと答えた人は3割未満にとどまった。コメントを見てもわかるとおり、現実問題として"男性の助産師を積極的に求める妊産婦"が少ないのが、最大の壁だろう。「男しかなれない職なんて作ったら大騒ぎするくせに…(笑)」など、男女平等の思想に悖るという意見はあるものの「お産だけは特別」という意見が依然として多い。男性限定の職業と言えば、歌舞伎や文楽などの伝統芸能のほか、スポーツではプロ野球や相撲などを思い浮かべるが…そういった類の職ともまた一線を画する、デリケートな分野である。
ちなみに「男性の産婦人科医はいる」という意見も多くあったが、日本では男性産科医が単独で妊産婦の診察を行うことは禁止されており、女性看護師または助産師の立ち会いが義務付けられているという。劣悪な労働条件と医療訴訟リスクの高さが問題視される産科。"出産難民"の根絶、安全な出産への足がかりを模索しなければならない時ではあるのだが…。
[文・能井丸鴻]
《NewsCafeアリナシ》
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