「もったいない」という日本語は外国語に訳しづらいらしい。「物の"本来あるべき姿"がなくなるのを惜しみ、嘆く気持ち」…。部分的には訳せても、すべての意味をカバーできる言葉がないため、環境分野では「MOTTAINAI」が世界共通語となっているのはご存じの通りだ。同じように「お世話になります」や「いただきます」、様々な擬音なども、相当する言葉を選ぶのは難しいようだ。
そして「お疲れ様」という言葉も同様に、非常に訳しづらいと聞く。日本では職場での挨拶として浸透しすぎたためか、ビジネス用語に近い趣もある不思議な言葉だ。しかし、元来は「感謝の気持ちを込めて"相手の労苦をねぎらう"」言葉であり、職場で先に帰る人へのあいさつとしてだけ使われる訳ではないはずだ。
そこでNewsCafeのアリナシコーナーでは「デートの終わりに『お疲れ様』というあいさつはアリだと思う?」という調査を実施した。結果とともにさまざまな意見をご紹介しよう。
【アリ…12.6%】
■イイんでないの別に。お疲れなんて今や挨拶のひとつ。実際疲れてるし。
■ドライブデートで運転してくれた彼に「運転お疲れ様」って言いますよ。
■同僚と仕事帰りのデ-トなら「お疲れ様! また明日!!」は別に普通です。
■旦那とのお出掛け(特に遠出で)の帰りに「お疲れチャ~ン」と言います。
■変じゃないと思うけど? 自分は、昔から時々、言ってたな。
■口癖になってるので言ってた。
■17で初めての彼女なので緊張して、ついつい口にしてしまう。
■これ、普通に言ってた!
■よくよく考えると変ですね。
■労いの言葉として掛けるのだから、気持ちがこもってればアリでしょ。
【ナシ…87.4%】
■仕事じゃあるまいし。
■そんなの絶対いやだ。
■今日はありがとう…じゃあまたね!! …かな。
■なんか生々しいな…お金絡んでる関係みたいで。
■え? 疲れるの? 無理してるの? と言いたくなる。
■事務的だね。
■は? お互い好きで付き合っているのに、なぜ?
■色気ない…。
■あ、でも家族で外出して帰宅した時に旦那に言うかも。
■こんな挨拶では、お別れ会ですね。
なんと【ナシ派】が9割近くの圧倒的多数という結果になった。遠出の後、よく歩いた後、運転の後…お互いの体の疲れを労う意味で「お疲れ様」と言い合うのは間違っていないはずだが、不自然に感じる人の方が多いようである。なかには「ムード丸つぶれ」「絶対嫌だ」など、強い拒絶のコメントも寄せられていた。日本語というのは本当に難しいものである。
私見だが、仕事の種類や業界によって「お疲れ様」の浸透度、使用頻度に差がある点は考慮するべきではないだろうか。あまりに「お疲れ!」が溶け込んでいる業種であるがため、プライベートでもつい口にする…そんなケースはありそうだ。
[文・能井丸鴻]
《NewsCafeアリナシ》
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