なでしこジャパンは、善戦及ばずアメリカに敗戦した。けれど、未来を感じさせる銀メダルだった。
ロンドンオリンピック、女子サッカー決勝。
最初のチャンスをものにしたのは、アメリカだ。開始から8分、左サイドからヒースがクロスを上げると、ニアサイドでモーガンが受けて中央にボールを出す。そこにロイドがゴール前に走り込んでヘディングシュート。なでしこは、先制点を奪われてしまう。
しかし、この日のアメリカのDF陣は、どこか噛み合っていなかった。なでしこが攻め込むと、ディフェンスラインが整わないまま、シュートエリアまで持ち込むことができた。
1点ビハインドとなった日本は、アメリカの守備の乱れを突いて反撃を仕掛ける。17分には、左サイドで大儀見がキープして中央に入れたボールを澤が受けてはたき、川澄がシュートするもランポーンにはじかれて、大儀見がつめるもGKソロに体で止められる。33分には、左サイドから川澄が中央に入れて、大野がキープし、最後は宮間がシュートを打つもクロスバーに当たった。複数人で崩して、シュートを打つ理想的な形だった。しかし、ソロの連続ビッグセーブもあって、ゴールには至らなかった。
1-0で折り返した後半。54分に、中央からドリブルで崩されてロイドにミドルシュートを浴びて、追加点を献上してしまう。2点を追う苦しい状況になったが、なでしこはあきらめなかった。
63分、大野のパスをゴール前で受けた澤がシュートを放つもDFにカットされ、こぼれ球を見逃さなかった大儀見が押し込んで1点を返す。さらに、宮間のフリーキックなどでチャンスを得て追加点を狙う。83分には、途中出場した岩渕が絶好のタイミングでドリブルシュートを放つが、またもソロのファインセーブでゴールを割ることができなかった。
結局、なでしこは追いつくことができずに、1-2で試合終了を迎えた。試合には勝てなかったが、日本はオリンピックで初の銀メダルを獲得した。
アメリカは強かったが、なでしこジャパンも強かった。
アメリカは、オリンピックで96年のアトランタ大会からすべての大会で決勝に進出している女王だ。これまでの対戦成績も1勝5分22敗と、大きく負け越していた。世界の女子サッカーをリードし続けてきたアメリカの背中は、これまでずっと遠かった。昨年の女子W杯では、延長戦までもつれこんでPK戦で決着をつけたが、ギリギリの戦いであった。
しかし、今回は女王相手に最後まで互角に渡り合い、戦いきった。シュート数もなでしこは12本、アメリカは15本だった。決して防戦一方になることなく、しっかりと攻めることができていた。なでしこは昨年から、一層強くなった。彼女たちは、これからも成長曲線を描いていくことであろう。
試合後に一旦ピッチを下りてから、表彰台に立ったなでしこジャパンは、笑顔だった。
ただ1人、19歳の岩渕だけが号泣していた。大会前に「なでしこジャパンの中心選手になるために努力したい」と、真剣なまなざしで語っていた岩渕。この経験と努力が、彼女の思いを実らせてくれるはずだ。
次の女子サッカーの世界大会は、2015年のカナダ女子W杯である。なでしこたちは、もちろん世界一を目指すであろう。3年後が今から待ち遠しい。
けれど日本では、なでしこリーグも再開し、今月19日からはU-20女子W杯も開幕する。
昨年のW杯に続き、オリンピックで女子サッカーの楽しみ方を知った人々が、日本のスタジアムにあふれていることを期待したい。
[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]
《NewsCafeコラム》
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