今回の東北地方太平洋沖地震について、直接被害のあった地域の方々はもちろんのこと、この国に住むどの方も不安とショックを感じていることと思います。そして大人だけではなく、子どもたちもいろいろなことを感じていることと思います。
ぜひそんな子どもたち(主に直接的な被害のなかった地域の子どもたち)とどう向かい合えばよいのか、千葉大学教育学部教授である藤川大祐先生が教師の方々向けに書かれたブログを一部引用、リライトさせて頂き、共有させて頂ければと思います。
(以下藤川大祐先生のブログより)
1.大人への不信を招かないように
保護者や教師などの大人は、地震報道を見て不安がる子どもに、不安を解消しようとして「大丈夫」「心配ない」と言うかもしれません。
しかし、子どもたちが不安になることは当然で、大人がその不安を否定するかのような対応をすることは、不安をわかってくれないという不信を招くことになりかねません。大人への不信が大きくなれば、体調不良を大人に言えない、ストレスから暴力等のトラブルにつながる等、新たな問題につながる可能性が大きくなります。
大人たちが自分の言葉で、地震について感じたことや考えたことを話してあげてほしいと思います。大きな揺れやたびたび訪れる余震で不安に思ったこと、自分の家族について考えたこと、助けを求めている人がいても自分では直接できることがないのではないかという無力感、自分たちの生活の今後への不安等、率直に話していただけば、子どもたちは大人に不信を抱くことはないでしょう。
できれば、今自分にできることをどのように考えているのかを、悩みを含めて話していただけるとよいと思います。
そして、子どもたちの思いをたくさん話せるようにしてほしいと考えます。応急処置としては、不安を聴いてもらえるようにするということが必要だと考えます。
2.自分たちができること
被災地の悲惨な状況が報じられているのを見て、自分たちにも何かできることはないのかと考えたくなるのは当然です。もちろん、救助を求めている人を助けにいくことも、被災地に差し入れをもっていくことも、子どもたちには(一般の大人たちにも)できません。
しかし、全く何もできないわけではありません。今、いろいろな人が知恵をしぼり、自分たちでできることは何かを話し合い、できることを進めようとしているということを伝え、一緒にできることをやろうと考えてほしいです。
子どもたちにできることとしたら、自分やまわりの人の心身の健康を守ることや、しっかり勉強して将来何らかの貢献ができるようになることなのだろうと思います。食事をとり、運動をし、規則正しい生活をして体調の維持につとめること、家族や友達にやさしくし、互いにおだやかな気持ちで過ごせるようにすることが、周囲からすれば最大の貢献かもしれません。
しかし、自分の欲求を抑えつけるだけではまずいので、好きなDVDを見たりゲームで遊んだりすること等、一時的にでも楽しい思いになることもよいことです。そして、この地震からの復興には時間がかかる上、自然災害に向き合うことは長期的に必要なのですから、未熟な今できることだけでなく、大人になってできるようになることのために今は学ぶということも重要です。
3.世界からの応援を見る
テレビでは今のところ惨状ばかりが報じられていますが、ネットでは世界からの応援や賞賛が頻繁に話題になっています。また、日本の中での誇らしい話題が共有されています。
そのような情報や話題をぜひ子どもたちにも伝えてほしいと思います。
[ライター 齋藤めぐみ/コンサルタント・キャリアカウンセラーとして企業、個人のクライアントへのコンサルティングを行う。ccE,Inc 認定 GCDF キャリアカウンセラー。詳細はオフィシャルサイトまで(http://www.megumi-saitou.jp/ )(PC専用)]
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